患者体験談

今回は親子でクローン病のはるさんに体験談を寄稿いただきました。
体験談①では娘さんについて、②ではお母さんのはるさんご自身について、記載いただいています。治療、食事、学校生活、お仕事など多彩な内容です。多くの方に参考になるのではと思います。ぜひご一読いただければと思います。
体験談① https://gcarecommunity.com/article/1374
グッテスタッフ
はるさん本人について
ーークローン病の発症はいつ頃ですか?また、発症時の症状や状況を教えてください。
2021年2月診断
2020年12月初旬から微熱が続く。下痢も多く(元々下痢気味)通勤時、急な腹痛で途中でコンビニのトイレなどに駆け込むことが増える、残便感も酷く常に便意を感じるようになりました。
粘液便や血が混じるようになるが、頻回の下痢のせいだろうと思っていました。12月半ばには微熱と下痢、腹痛が続くためクリニックを受診し感冒薬を処方してもらっていましたが良くならず、何度か受診。このころには仕事に支障が出るくらいには下痢と腹痛が強く、起床時から2.3時間トイレにこもる状態で仕事に行けず、1日に10回以上下痢をしていました。出勤しても頻回の下痢で仕事にならず、上司と相談の上休職をしました。(コロナの時期で発熱していると仕事が出来なかったこともあり)通院していましたがなかなか良くならず、1月下旬には毎回血便が出始め通院していたクリニックで便の写真を見せたところ、大学病院を紹介され受診予約となりました。(2月初旬)
大学では大腸カメラの予約をとり、検査2週間後再診。病理の結果IBD外来に行くように言われ、さらに2週間後受診となり、そこでクローン病と診断され3月初旬入院となりました。このころには下痢、血便、腹痛、発熱もあり、1日20回以上はトイレに駆け込んでいました。食事も腹痛が強くあまり食べることが出来ずフラフラしていました。
ーーこれまでの治療の経緯について教えてください。
2021年3月入院してプレドニン40㎎から開始し、徐々に減薬していきました。詳しい検査の結果、小腸大腸型とのことでしたが小腸は炎症が少ないとのことでエレンタールは処方されませんでした。1週間ほどで退院し外来に週一で通いました。便回数は10回以上/日、血便は毎回出ており採血上も余り改善していないとのことで2021年4月~ヒュミラ導入となりました。徐々に落ち着いてきましたが下痢腹痛が酷く食事がとれなくなり6月に入院。エレンタール開始。大腸カメラの結果、ヒュミラの効果はそれなりにあり改善も見られていましたが、潰瘍が残存している所もあり治療強化でヒュミラを週1に増量しました。仕事の方は、この時点で、症状が改善せず休職期間が満了となり、復職したかったのですが働ける状態ではなく退職となりました。その間も腹痛や血便と下痢が続きLRGは常に20以上(CRPは上がらない)で37.5℃前後の熱が続いており2021年8月からレミケードに変更しロイケリンを追加。少しずつ症状の改善が見られ血便の回数が減ったり下痢が落ち着いてきていましたが、微熱や腹痛は相変わらずあり、LRGも20超えでした。途中ロイケリンの副作用で脱毛がみられ中止したところ関節痛が悪化し、膠原病内科でクローン病による関節痛とのことでタクロリムスとアザルフィジンを処方され、コントロール開始した。2022年1月半ばから大腿や腹部に発疹が出始め、徐々に頭、手のひら、足の裏へと広がり皮膚科で生検。レミケードによるパラドキシカルリアクションとのことで、強いステロイド軟こうを塗りながらレミケードをしばらく継続していましたが、皮膚症状が悪化し手のひらと足の裏に膿疱が出来、広範囲に皮が剥け、かゆみも強く眠れないほどになりました。そのためクローン病には効果があったのですが、副作用のためレミケード(全10回)を中止し、治験の話も出ましたが大腸カメラの結果適応にならず、2022年6月~ステラーラに変更。この頃が一番身体的にも精神的にも結構辛い時期でした。ステラーラは体感的にはあまり著名な効果は感じませんでした。腹痛、お腹の張り、下痢、微熱も持続。2023年3月、腹痛が強くまた食事もとれなくなり定期外で受診。CTで大腸の腫れがあるとのことですぐ大腸カメラをしました。炎症はみられましたが潰瘍はなく、症状が強い割に粘膜は綺麗でした。その為、漿膜の炎症が考えられ、家族制地中海熱(FMF)を疑われました。FMFは遺伝子検査で分かるとのことで遺伝子検査をしました。また治療として、まずはコルヒチンの内服をお試しで開始。更に、症状も強いのでステラーラからスキリージに変更。短期間でコロコロと薬が変更になることへの不安や焦りもありましたが、主治医がよく話を聞いてくださり、「痛みなど辛い症状を我慢しなくて良い。今はどんどん新しい薬も出るし、潰瘍や炎症をなくし粘膜治癒の状態にすることが大切。」との事で、納得して薬剤変更をしました。その後、遺伝子検査の結果FMFの遺伝子変異が確認され(非典型)コルヒチンを増量。生理周期に合わせて症状が悪化するため婦人科紹介されレルミナ内服開始。また、IBSに対しても2024年1月~ジメチコンとスルピリドを開始。関節痛が酷く、スキリージよりリンヴォックの方が効果があるとのことで2024年4月~変更。これでようやく、関節痛や腹痛、腹部膨満感が落ち着いてきて、血便もなくなり下痢の回数も減ってきて、日常生活(家事など)が概ね普通に送れるようになりました。しかし、ここまでで体重は発症から18㎏減り体力が落ち、すぐ疲れてしまい、外出は近所(徒歩10分位)のスーパーへ買い物に行くのが精一杯の状態ではありました。少しずつ体力をつけるため散歩したりと行動範囲を広げ今現在は数時間の外出であれば可能になりました。
ーー診断された時のお気持ちや印象に残っていることは?
娘がクローン病だったので、自分が診断されたときは「やはりクローン病か・・・」と思いましたが、娘が診断されてから3年ほど後に診断されたので、治療や食事療法などは既にある程度理解し実践しており、それほどショックは受けませんでした。が、これからずっと付き合っていかなければならないと思うと、へこみましたし、仕事への不安がまず大きかったです。
ーーどんなお仕事をされていますか?また、上司、同僚の方には病気のことを伝えていますか?
医療職として働いていたので、上司や同僚にもクローン病のことは伝えていました。でも、休職期間(半年)終了時点では、まだ下痢や血便が頻回で発熱もあり、職場復帰するには少し無理がある状態で、仕事を続けていく事に関しては「その状態では働けないよね。」という感じで、そのまま退職となりました。なかなか厳しい世の中だなぁと感じました。
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