患者体験談

ーー自己紹介


Jack_UCと申します。

現在日本の会社より駐在でアメリカ、ジョージア州アトランタ近郊に住んでいます。

30代後半、家族は妻と子供二人(5歳と1歳)。


潰瘍性大腸炎(UC)歴10年です。

海外でのUC治療や、育児、仕事に苦戦しながらも楽しんでいます。


ーー診断まで


社会人になって3-4年目頃の2009年末、お腹の調子が悪くなっ たのですが、

ちょうど期限切れの食品を食べたこともあって、

何か変なものにあたっただけだと思っていました。


なかなか調子が良くならず、そして下血しました。

それでもまだ、今度は痔だと思い込んでいましたが、

ひとまず病院へ行きました。たぶん痔だから薬をくれ!と。


痔ではないと説明を受け、内視鏡等の検査をすると言われました。


その時、私は炎症性腸疾患(IBD)のことを全く知らなかったので、

大腸癌になったのかと思い込み、本当に怖かったです。


というのは、私が高校1年のころ、父親を大腸癌で亡くしている上、

私は見た目も本当に父親そっくりと言われ、将来気を付けた方が良いと

周りから言われていた背景があるからです。


しかも、父も下血から 始まり、母からはあと1週間発見が早ければ・・と

聞いていましたので、この時は本当に心配でたまりませんでした。


その後、町医者で内視鏡検査を受け、多分IBDだと言われ、

大学病院へ行くことになり、再度内視鏡、各種検査により

1-2ヶ月くらいかかりましたが、ようやく潰瘍性大腸炎(UC)の診断がつきました。


ーー家族や恋人、友人に対して


上記理由もあって、母親には過剰な心配をさせると思い、

診断がつくまでは話をしませんでした。


父のこともあったので、話をすると仰天して体調でも崩すんじゃないか

と思っていましたが、いざ説明すると、

何それ?難病?命にかかわらないのでしょ、まぁ気を付けなさいよ、

と、拍子抜けするほどあっけなかった記憶があります。


父の死の前後で途方に暮れて悲しんでいる姿を何度も見ていましたが、

それを乗り越えて強くなる姿も見ていましたので、母は強しと本当に感じました。


口に出さないだけできっと心配していたと思いますが、嘆いたって仕方がない、

と前向きに考えてくれていたと思います。


当時の恋人(今の妻)へも診断がつくまでは変な心配をさせたくなかったので、

診断がついてから説明をしました。


そんな調子が悪かったのになぜ話さなかったんだ!辛かっただろうに!

私はお前のなんなんだ!なぜ頼らない!と

とてつもなく怒られました(笑


これがきっかけになったわけでもありませんが、数か月後に婚約、その後結婚しました。


友人たちへも話していますが、だからといっ て何かあるわけでもなくいつも通りです。


ご飯を食べに行くときの食事には気を使ってくれるようになりました。


ーー職場と仕事


私の仕事は技術部で設計や開発をしていましたので、

主にデスクワーク、あとは実験室で評価などをよくしていましたが、

トイレに行けないような状況は無かったのでトイレには困りませんでした。


上司には診断後すぐに話をしました。

割と大きく良い会社でしたので、無理せず、調子悪い時は休みなさいと言われました。


私が何より不安だったのは、学生時代から海外で仕事をしたいという目標を持っており、、

これが病気により実現できなくなることでした。


そこも上司に相談し、会社のルールを確認したら、海外駐在については、

すべて 産業医が判断するとのことで、その産業医に聞いたところ、

主治医がOKといえば、問題ないとの話でした。


ーーその後の症状


診断されたころは、自分でも本を買い、ネットでも病気のことを良く調べました。


幸い私はペンタサのみで症状が落ち着いており、

その後約10年、ときどき調子が悪くなることもありましたが、

1週間くらいで回復していました。


また現在は副作用が報告されており注意が必要ですが、セイタイを飲むこともありました。


食事は診断前は高脂質なジャンクフードやお菓子が大好きでよく食べていましたが、

診断後、特に調子が悪い時は控えるようにし、

調子が良い時はある程度食べていました。


始発から終電までバリバリ働いていたころもあり、もは や会社の人も、

いや自分でさえ、病気であることを忘れるくらいの調子でした。

この病気は症状が人それぞれな中、幸い自分は軽症であり、

このままずっとこの調子なのだろうと思い込んでいました。


数年間何も症状がでないこともあり、完治したのかと勘違いしたくらいです。


これだけ調子が良かったので、主治医も海外駐在は問題ないと言ってくれていました。

特にもし欧米に行くなら、むしろIBD医療は進んでいるとも言われました(当時)


この間、どれだけ調子が良くても2年に1度は必ず内視鏡を受けることにしていました。

恐らく内視鏡的寛解、という状態で、組織検査では少し炎症が見えると言われている状態でした。


また、UCが大腸癌になりやすいとの言われていることも検査をしている理由です。

もし私がUCでなければ内視鏡検査はほとんどしていないと思います。。


父のこともあるので、UCになったことで内視鏡検査を受け、大腸癌だけは事前に防げると

かなりポジティブに考えています。


またそれ以外の健康面にも一層気を使うようになりました。


ーー2度の転職


細かいことは省略しますが、いろいろあって2度転職しました。(既に30代)

UCが原因ではありません。


いろいろな会社を受けましたが、UCで難色を示す会社はありませんでした。


履歴書には潰瘍性大腸炎と書いていましたが、それほど知られていないのか

おそらく、ちょっとお腹を下しやすい人程度にしか見られていなかったと感じています。


聞かれても、数ヶ月に1度の通院と、トイレに行く回数が多くなることがある、程度で、

業務に支障はほぼないと説明していました。


聞かれても無いのに、あえて指定難病だとか、重症化するとこうなるとか、

そんな話はしませんでした。


2社目の会社(グループで従業員10万人規模)のみ、難病の受給者証のコピーの提出が必要でしたが、

だからといって、会社から何か言われることはありませんでした。


ーーそして海外へ


転職もしていろいろあり、ようやく1つの目標としていた海外駐在が決まり、

2018年10月よりアメリカへ行くことになりました。


UCについては、薬をできるだけ多めに処方してもらったり、

念のため英語の診断書の準備などをしておきました。


そしてまずは単身でアメリカへき て、

調子に乗ってステーキとかハンバーグとか、ジャンクフードも

かなり食べてしまいました・・・。

そして家族が18年末にアメリカへ。


ーー再燃と情報収集


家族が来てからは和食を中心とした低脂質な食事に戻りましたが、

19年2月頃からお腹の調子が悪くなり、

いつものことだと思っていても全然回復せず。


ついには過去最大級に悪化し、1日10-15回くらいトイレに駆け込むことになってしまいました。


そしてアメリカで専門医を受診、内視鏡検査、

その後ステロイドによりずいぶん回復しましたが、

また微妙に悪くなったりを繰り返しています。


今度は生物学的な治療(レミケードなど)をアメリカで行う予定です。


一生軽症と思い込んでいましたが、 大間違いでした。

これまでは寛解でしかなく、完治しない病気であることを10年越しに実感しました


そして約10年ぶりにUCのことをTwitterやこのジーケアなども利用しながら、情報収集しています。


リアルダ?ヒュミラ?この10年の間に知らない薬が日本でたくさん認可されており、いろいろと勉強しました。


また、患者数も増え、ジーケアのようなコミュニティサイト、IBD向けお料理サイトなども

本当に増えていて驚いています。


特に私の場合は、海外にいますので、日本だったらこうしている、との情報は貴重です。


実際、レミケードなどの免疫に関する治療をする場合、事前の予防接種をアメリカでも推奨されましたが、

アメリカではMMR生ワクチンなどは候補に入ってませんでした。


治療を始めると打てなくなることを知り、医師へ相談してみたところ、

アメリカ でMMRを事前に打つことにしました。


これらの情報はこういったコミュニティから得られたもので、大変助かりました。


もちろん、ネットの自由な場では嘘の情報も溢れていますので、注意が必要で、

最終判断は医師と相談するべきと思います。


調子が悪くなってしまったので、日本の本社からは、

業務に大きく支障をきたすようなら帰国も検討する、

と言われしまいました。


今のところ、治療により落ち着かせることができていますので、業務に問題はなく、

病気による強制帰国という話にもなっていません。


本当に医療従事者の方々には感謝しております。


ーー他の症状 UCと関連?


UCに起因しているのかわかりませんが、

UC発症後、時々、歩くのが辛くなるような足の痛みがありました。

足の付け根の関節痛のようなもので、右側にでたり、左側にでたり。

整形外科にかかり、X線を取っても異常はなく、いつも湿布と痛み止めだけでした。


その後、あまりに痛いときがあるのでMRIを取り、腰に軽いヘルニアの状態が見られると言われ、

これが原因と特定されたのですが、どうもよくわかりません。


また、関節痛ほど頻度はありませんでしたが、寝ているときに背中が痛いときが稀にありました。

(なぜだかわかりませんが、アメリカへきて途端にこれらがほとんど無くなりました

普段の歩く距離が減ったため?)


最近、関節痛や背中の痛みを訴えるIBDの人を時々見ることがあるので、書いておきました。

明確な関連性と、対処治療があればと思います。

(ただの勉強不足かもしれませんが)


ーーIBD患者の方へ

最初は嘆き悲しんでもよいと思います。


そして落ち着いたら前を向きましょう!


症状にもよりますが、やれることは探してみると意外とたくさんあるはずです。


視点も変えてみれば、その中からやりたいことを見つけられると良いと思います。


ーー最後に


IBD患者で海外で生活している方は少ないかもしれませんが、

貴重な体験かもしれないので、海外での治療などについて私の体験をブログに書き留めています。


(更新頻度は 低いですが・・) 興味ある方は参考にして頂ければと思います。

https://jackuc.hatenadiary.com/

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