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新型コロナウイルス感染症に対して、IBD患者として改めて気をつけたい3つのこと
皆さんこんにちは。
最近は連日新型コロナウイルスのニュースが日本だけでなく世界中で報道されています。
私自身は日々患者さんを担当させて頂く医師としての立場からも、最新の情報を得ることができています。この新型コロナウイルス感染症はほとんどの方は症状が軽いことが多いようですが、一方で残念ながら重症化して亡くなられた方々がいらっしゃるのも事実です。
今日は現在のこのような状況の中で、一般的な注意点だけでなく、特に潰瘍性大腸炎やクローン病の患者さんにとって改めて意識して頂きたいことをお伝えしたいと思います。
1. 自分の治療内容を改めて意識する
皆さんはご自身が日々使っている薬に関して、しっかりと理解されているでしょうか。
ペンタサR、サラゾピリンRといったような薬の名前だけでなく、現在使用中の薬によって「自分の免疫力が下がるのかどうか」について改めて意識してみましょう。
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の治療では、時に「免疫を抑える」効果のある治療薬を使うことがあります。
治療薬の中で最も大切な薬の1つである5-ASA製剤であるペンタサR、アサコールR、リアルダR、サラゾピリンRなどは基本的にはそれほど免疫を抑えるものとして神経質になる必要はありません。
一方で免疫を抑える作用のある代表的なものはステロイド薬です。他にはレミケードR、ヒュミラR、シンポニー R、ステラーラR、エンタイビオR、ゼルヤンツRなどの生物学的製剤もほとんどのものは免疫を抑える作用があります。
またチオプリン製剤であるイムランR、アザニンR、ロイケリンR、さらにプログラフRも免疫を抑える作用がありますね。
このような薬を使用中の方は、特に今のような状況ではできる限り人混みを避け、外出する時にはマスクを着用するようにして下さい。
通院や通学、仕事などでどうしても公共交通機関など人混みを避けるのが難しいことも多いと思います。その場合には、できるだけ不特定多数の方が触れる部分への接触を避けたり、触れた後には手洗いをしっかりと心がけてください。
2. やっぱり大切な基本的な「手洗い、うがい」
様々なことが指摘されている新型コロナウイルス感染症ですが、やはり最も大切なことは基本的な「手洗い、うがい」です。これはIBDの病気を持っているかどうかも関係なく、全ての方に当てはまることです。特にこの事は、外出から帰宅した後だけでなく、毎回の食事の前にもしっかりと手洗いとうがいを心がけて下さい。アルコールでの消毒も大切ですが、やはりきちんと手洗いができてないとその効果は不十分になってしまいます。
3. 新型コロナウイルスを正しく恐れて、基本的な注意点を継続する
実は大切な事は上記2つのポイントで説明してしまいました 笑
3つ目にお伝えしたいことは、改めてこのジーコミュニティを利用して頂いている皆さんへのメッセージです。
私は日々患者さんの診療を担当させて頂いていますが、本当に様々な状況が報道されている現状では多くの患者さん方が非常に不安を持たれていることを実感しています。
現在のところ幸いにもIBDの患者さんが新型コロナウイルスに感染して重症化したという報道はありません。
しかし今後さらに感染者の数が増える可能性がありますので、感染の危険性は私たちのすぐ近くにあることも事実です。
改めてこのジーコミュニティの方々には、基本的なことですがとても大切な「自分の治療内容を意識する」「手洗い、うがいをしっかりする」ということをお伝えしたいと思いメッセージを書かせて頂きました。
「人混みを避け、外出時にはマスクを着用する」
「外出後、毎食前に手洗い、うがいをする」
皆さんが新型コロナウイルスに感染せず、IBDの病状が安定されることを願っています。ぜひ何か疑問などあればご遠慮なくジーコミュニティ内で質問をして頂けたらと思います。