皆さんこんにちは。
今日はGastroenterologyという世界の消化器領域で有名な学術雑誌で先日公開された、新型コロナウイルス感染症の流行(パンデミック)におけるクローン病/潰瘍性大腸炎の治療に関する内容を紹介します。
この内容にはいくつかありますが、特に大切な項目を10個のポイントとしてまとめましたのでぜひご覧頂けたらと思います。
現在世界では日本と同じように感染者が増加し続けており、IBDの患者さんの治療内容に関する最新情報は日々更新されています。
今回の内容はThe International Organization for the Study of Inflammatory Bowel Diseases (IOIBD)という国際的な学術組織がまとめたものです。
これはあくまで国際的なIBDに関する学術組織の宣言ではありますが、実際の対応はそれぞれの患者さんの個別の状況により決まります。そのため実際の治療方針に関しては、ぜひ主治医の先生とよくご相談して頂ければと思います。
それでは以下にご紹介します。
1. IBD(クローン病/潰瘍性大腸炎)の病気を持っているとしても、新型コロナウイルスに感染しやすいということはない。また感染したとしても病状が悪くなりやすいということもない。これは人工肛門、回腸嚢がある場合にも同様。
2. 5-ASA製剤(ペンタサR、アサコールR、リアルダ R、サラゾピリンRなど)は新型コロナウイルス感染には関連しないので、これまで通り使用することが可能。
3. 新型コロナウイルスからの感染を防ぐために、可能であればステロイド(プレドニゾロン)を減量または中止することが望ましい。
しかし、新型コロナウイルスからの感染を防ぐために、現在使用中のステロイド以外の治療薬(生物学的製剤など)を減量したり中止する必要はない。
4.レミケードR などの抗TNF製剤は、新型コロナウイルスに感染し、肺炎などを発症した場合には中止することが望ましい。
5. レミケードRとイムランRなどのように、抗TNF製剤と免疫調節剤の両方を使用中の場合に、新型コロナウイルスへの感染リスクを低下させるために免疫調節剤の用量を減らすべきかどうかは決まっていない。現時点では不明。
しかし、抗TNF製剤と免疫調節剤の両方を使用中の場合に新型コロナウイルスに感染し、肺炎などを発症した場合には、両方の薬剤を中止することが望ましい。
6. エンタイビオRの新型コロナウイルス感染への影響は不明であり、現在のところ中止すべきかどうかは決まっていない。
7. ステラーラRは新型コロナウイルスに感染し、肺炎などを発症した場合には中止することが望ましい。
8. ゼルヤンツRは新型コロナウイルスに感染した場合、かつ、感染して肺炎などを発症したそれぞれの場合には、中止することが望ましい。
9. 新型コロナウイルスに感染したり、肺炎などのためにIBDの治療薬を中止していた場合には、症状が2週間起きなかったか、または症状が完全になくなり改善した後には治療薬を再開することができる。
10. 延期可能な内視鏡検査や手術は延期することが望ましい。
とても大切な内容ばかりですね。既にご存知であった内容も、初めて知ったという内容もあったかと思います。ぜひ主治医の先生と良い関係を築いて、相談して頂ければと思います。
これからもGコミュニティでは、海外の最新情報など新型コロナウイルスに関する情報を積極的に発信していきます。
自粛が続き不安なことも多い日々ですが、ぜひGコミュニティのメンバーである私たちが共に力を合わせて、なんとか乗り越えていきましょう!
【参考】
Management of Patients with Crohn’s Disease and Ulcerative Colitis During the COVID-19 Pandemic: Results of an International Meeting」https://www.gastrojournal.org/article/S0016-5085(20)30465-0/pdf