専門家の記事

みなさんこんにちは。


今日は日本炎症性腸疾患学会(JSIBD)が公開している、世界のIBD患者さんの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する最新情報をご紹介したいと思います。


これはIBDの調査研究班「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班」により設立されたJAPAN IBD COVID-19 Taskforceによってまとめられたもので、JSIBD会員向けに公開されている情報です。


つまり日本のIBD診療の中心である学会が正式に公開している情報で、JSIBD会員である私も直接連絡を頂きました。


実際の公開情報は専門的な情報ですので、少しでもGコミュニティのみなさんにわかりやすくお伝えできればと思います。


1. IBD患者さんのCOVID-19診断数が多い国はどこ?


まず2020/05/01までの状況で、現在世界には798人のIBD患者さんが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断されています。


最も患者数が多いのは、一般の方の感染者数も多いアメリカです。続いて、スペイン、フランス、イタリアなどが続き、ともに増加傾向にあります。


2. COVID-19と診断されるIBD患者さんの年齢は?


IBD自体の発症年齢と同じような傾向があり、20-40歳代が最も多いです。もちろん他の年代の10歳代、50-70歳以上の方もいます。そして60歳以上の方が重症化率が高くなっています。


3. IBDの疾患別に違いはあるの?


クローン病、潰瘍性大腸炎ともにCOVID-19と診断される患者数は増加傾向にあります。またクローン病では重症化率が増加傾向にありますが、潰瘍性大腸炎では横ばい程度です。しかし一方で潰瘍性大腸炎の死亡率は高い状況が続いています。


4. 治療薬の最新情報は?


治療薬に関しては、やはりステロイド治療中では重症化率が高い結果となっています。


抗インテグリン製剤(日本ではエンタイビオR)は入院率は軽度高値ですが、死亡率は低いです。


IL 12/23阻害剤(日本ではステラーラR)は入院率も重症化率も低いです。


JAK阻害剤(日本ではゼルヤンツR)はまだ患者数が少なく十分な評価ができていません。


以上が本日の内容になります。あくまでも、世界のデータを含め解析した結果になりますのでその解釈には慎重になることが大切です。また実際のそれぞれの患者さんに対しては個別に判断することが大切ですので、少しでも不安などありましたらぜひ主治医の先生とよくご相談して下さい。


ちょうど日本でもCOVID-19の患者数が増加傾向にあり緊急事態宣言の解除が延期されたように、現在世界でも患者数は増加傾向にあります。このような状況下で、特にIBD患者さんに絞ったデータはとても貴重なものでありJSIBDの関係者の方々に大変感謝しています。


そして私たちは、少しでも患者さん方の不安を払拭するサポートになればと日々最新の情報を得るよう取り組んでいますので、ぜひこれからもGコミュニティのメンバーで支え合いながら一緒に乗り越えていきましょう!