患者体験談

この就労体験記では、IBDを抱えての就職活動や就労に関して、皆さんのプロセスや気づき、工夫などを共有することを目的としています。


今回はIBDを発症中(!)に新卒就職活動を行って内定をゲットした学生の方、Mr.12thさんの体験記です。職場選びの観点や、就職活動の具体的な進め方や考え方など、大変詳しく記述してくださいました。ぜひご一読ください。

 

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現在、CD1年目(2021年5月に確定診断)、ペンタサとヒュミラにより治療中です。


2022年4月~就職し、ボウリング・アミューズメント施設で接客を伴う店舗運営業務に携わる予定です。

 

職場について


お客様と直接かかわりを持ち、自分の努力がお客様の笑顔に直結することがやりがいになると思います。残業が比較的少ないと聞いており、シフト制である程度の出勤日を調整できるので、平日に通院日が入っても問題がないと思います。


一方で、業務の途中で体調が悪くなるなどしても、すぐに持ち場を離れられるとは限らないお仕事です。休日出勤・夜勤などもあるのが大変そうです。

 

就職活動の際、職場を選ぶために大事にしていた観点


最も重視していたのは、コミュニケーションを十分にとれる社風です。理由は、私の長所であるチームワーク力を活かせるからです。また、良好な人間関係がモチベーションの維持に繋がると聞いたためです。


その次に大事にしていたのは、消費者や顧客との距離です。これも、私自身のやる気をキープするために重要視していた点でした。私は、誰かが喜んでくれるということがかなりやる気に直結しているタイプということもあり、ずっとデスクで作業するような業務よりは、直接お客様と関わっていけるような業務を希望していました。


そのため、業界としては小売業・サービス業を主にみていて、業務内容についても事務職ではなく、店舗運営や営業といったお客様と直接関われるようなものを考えていました。


この度内定を頂いた企業は、サービス業にあたること、新入社員は最初に必ず店舗運営部へ配属されるといった点から、私の希望業種にマッチしていました。


そして就活イベントなどでお話を伺っていく中で、コミュニケーションを取れる環境であるということが確認できたので、入社先として決定しました。

  

就職活動の具体的な進め方


大学3年生の春から、自分の体調に合わせてゆっくりと進めていきました。この時点では、慢性的な腹痛はあったものの、まだ診断を受けておらず、「自分はお腹がとても弱いんだな」くらいにしか考えていませんでした。


初めのうちは業界などは全く絞らずに、とにかく色々な企業をみてみることにしていました。オンライン合同説明会などで、少しでも興味があれば話を聴いてみて、少しでも「この業界嫌だな」と思ったら候補から外すというスタンスをとっていました。企業ごとのインターンシップやセミナーについても、予定が合えばとりあえず参加してみるという感じでした。


イベントによっては、セミナーの中で、就活のノウハウについても教えてくれる企業もいくつかあったので、そういったイベントに参加することで、自己分析もある程度並行して進めることができたと思っています。11月が終わる頃には、先述の「職場選びで大事にしていた点」が自分の中でもかなり固まってきました。


1月になってから早期選考を受け始めたのですが、この頃から症状が段々と悪化していき、就職活動に使える時間が減っていきました。そのため最終的に選考を受けた企業数は5社とかなり少なかったですが、無事に2社から内定を頂くことができました。4月の後半に2社目の企業から内定通知を頂いた翌日に入院することになり、5月にCDの診断を受けたので、そのタイミングで就活を終えることにしました。


就職活動全体で最も苦労したのは自己PRの伝え方でした。私の場合、傾聴力やチームワーク力といったことを私の長所として話そうとしましたが、自分の過去のエピソードを根拠にして、説得力のある話にまとめるのが難しかったです。そこで、就活セミナーで知り合った人と意見交換するなどして、自分のESをブラッシュアップしていきました。


IBDに関連した苦労、というか不安に感じていた点としては、先の見通しが自分でも見えないという点にあります。


特に診断を受ける前は、自分に何が起こっているのかも解らず、ただただ体調が悪いという状態で、就職できるのか、できたとしてちゃんと働けるのか、といった不安が大きかったです。


診断を受けた今でも、やはりまだ私なりの病気との付き合い方というのは確立されていないので、不安が払拭されたわけではありません。


ですがこうしたことは、気にしたところで解決するようなものでもないので、あまり深く考えないようにしているつもりです。とにかく、体調なども踏まえて、その日自分ができることに集中するよう、心がけています。


CDと診断されたことについては、まだ内定先には伝えていません。その理由は、誤解を避けるためです。ただでさえ、入社するまでは企業側とのコミュニケーションの機会も限られているうえ、特にIBDは認知度が低いことから、就労者側の能力が必要以上に低くみられるのではと考えました。


そこで今伝えてしまうよりは、入社して本格的に働くようになってから、時間をかけて自分の状態を理解しておらう方が良いと判断しました。仮に選考の時点で診断を受けていたとしても、IBDのことは伏せて活動していたと思います。


お仕事とIBD治療の両立について


まだ本格的な就業経験はありませんが、直接的に一緒に働く人には、きちんと病気のことを話しておくべきだと思います。私も入社後に伝える予定です。

 

これから就職活動をする方へ、一言メッセージ


就職活動では、能力というよりは自分と企業をどれだけ理解しているかということが問われると私は言われてきました。IBDを抱えていることをハンデではなく、あくまで自分の特徴の一つとして捉えて臨んでみるのも1つかもしれません。

 


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Mr.12thさん、お忙しい中たくさんお答えいただき、ありがとうございました!


IBDを抱えての就職は不安もあるでしょうが、無理せずお仕事を楽しんでくださいね。Mr.12thさんのご活躍を心からお祈りしております。

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