こんにちは、ジーケアの杉原です。
今回は、患者さんからご質問がありましたサプリメントなどに含まれる添加物について解説させていただきます。
<ご質問>
個人的にはヤクルト飲料が自分にあっていたので毎日飲んでいたのですが、異性化糖が使われていると知ってから少し摂取を控えています。
ヤクルト飲料に代わるものとしてシロタ株のサプリメントを飲んでみようかと思っているのですが、
(原材料)マルトデキストリン、ばれいしょデンプン、乳酸菌乾燥末(乳成分を含む)、ビフィズス菌乾燥末(乳成分を含む)、とうもろこしデンプン/増粘剤(プルラン)
は潰瘍性大腸炎の人にとってどうなのでしょうか?
<回答>
IBD患者さんの中には食品添加物を気にしている方も多いと思います。
IBDと食品添加物については過去の記事をご参照いただければと思います。
https://gcarecommunity.com/article/135
さて、ご質問のサプリメントに含まれる添加物についてですが、結論から言えば通常の摂取の範囲内ならばそこまで気にしなくても大丈夫だと思います。
過去の記事でも記載がありますが、食品添加物がIBDに及ぼす影響はまだ動物実験レベルでしか明らかにされていないので、過剰に摂取しない限りはあまり気にしなくても大丈夫だと思います。
例えば、潰瘍性大腸炎患者さんを対象にミルミル(ヤクルト)の効果の検証が日本で行われましたが、48週間毎日摂取しても再燃率はプラセボと変わらなかったことが報告されています。
この報告では、プロバイオティクスとしての有効性がなかったという残念な結果でしたが、ミルミルを毎日摂取しても少なくとも病気の悪化には繋がらないという意味でも捉えることができるかと思います。
参考 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6015104/
その他にも、クローン病でよく使用されるエレンタールにも、乳化剤などの添加物が含まれています。
しかし、多くの患者さんがご存知の通り、エレンタールはクローン病の寛解維持・寛解誘導効果があることが報告されています。
参考 https://gcarecommunity.com/article/147
以上のことから、添加物が入っているものが全て悪いわけではないというのがおわかりいただけると思います。
添加物を全く摂取しないというのは、今の世の中ではとても難しいことですし、添加物を気にしすぎてストレスがたまってしまう可能性もあります。
そのため、きちんと自炊をされていて食事に気をつけている方はそこまで添加物に敏感にならなくても大丈夫かと思います。
ただ、加工食品の摂取や外食の頻度が高い人は、添加物を多く摂取している可能性がありますので、一度食生活を見直してみてもいいかもしれません。
海外でも添加物、特に乳化剤の研究がよく行われていて、IBD患者さんに乳化剤を投与して病気への影響を評価する研究も行われているようです。
また添加物に関する面白い研究があれば、Gコミュニティの方で紹介させていただきますね。