消化器内科医の今井です。今回は患者さんから質問をいただくことの多い結節性紅斑について紹介します。
――結節性紅斑とは?
結節性紅斑とは、主に脚に生じる痛みを伴う赤色または紫色の皮下結節を指します。特に、スネの辺りが好発部です。
潰瘍性大腸炎の患者さんに生じる皮膚の症状は、「腸管外合併症」と言われ、度々認めることがあります。文献的には、潰瘍性大腸炎患者の2-10%程度とされています(Inflamm Bowel Dis. 2015; 21 :1982–1892) 女性の方が頻度は高く、小児の頻度は少ないとされています。
興味深いことに、皮膚の合併症(結節性紅斑や壊疽性膿皮)の合併しやすさは一部の遺伝子リスクが報告されています(Inflamm Bowel Dis. 2014; 20: 525-533)。
――結節性紅斑の対処法は?
「結節性紅斑かどうか」で対応が異なります。
もちろん潰瘍性大腸炎の患者さんなので結節性紅斑の可能性は常に考えないといけませんが、一方でそれ以外の皮膚の病気が起きることもあります。
一般的には細菌などの感染により生じるものがあります。例えば診察を受けた際に皮膚に膿のような細菌感染を疑わせるものがみられたり、また診察時に「足の症状が出る前に喉の痛みや風邪のような症状はありましたか?」などと聞かれることがあるかもしれません。
治療法に関しては、細菌感染であれば抗生物質が必要になりますし、結節性紅斑であっても「対症療法」といって安静、冷却、痛み止めなどで対応することもあります。
また結節性紅斑の場合には、一般的な対応では抗炎症薬を使いますが、潰瘍性大腸炎自体の治療を行うことで結節性紅斑が改善する場合があります。
いずれにしても、大切なことは正確な診断を受けることですので、早めの主治医への相談が望ましいです。特に免疫抑制を行っている状態では、細菌感染が悪化しやすいので注意が必要です。
結節性紅斑やそのほかの合併症についても気になることあればお気軽にご質問ください。