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この度、2023年2月~3月にかけてアカデミスト社を通して行わせて頂いたクラウドファンディング事業が無事に論文になり、日本炎症性腸疾患学会の公式誌に採択されましたことをご報告いたします。


潰瘍性大腸炎の症状管理において、現在では病院における採血や便検査、および問診での症状スコアにて状態が安定しているか、または再燃を疑われるかを判断してきました。しかし、リアルタイム性にかける点や通院でないといけない不便さなどの問題もあり、何か新しい方法がないかを考えました。そして、スマートウォッチを使い、様々な生体情報を記録し、潰瘍性大腸炎の症状と相関するようなデジタルデータがあれば、それがデジタルバイオマーカーにならないかと考え、今回のクラウドファンディングを行うことに致しました。


その結果、夜間の心拍数の一部の記録から取得される副交感神経の指数が明確に潰瘍性大腸炎の症状スコアと逆相関することを見出しました。すなわち、潰瘍性大腸炎の症状が強い時期は夜間のリラックスがなくなり、緊張状態が続く夜を過ごしている可能性が高く、それを数値化できたと言えます。そして、特別な医療機器ではなく、市販のスマートウォッチを使用して計測できたことは非常に画期的であったと思います。


こういったデジタル生体情報を用いた臨床研究は数多く世界でも行われていますが、現在のところ、炎症性腸疾患領域においては日本ではじめてのデータとなりました。今後さらにこの分野の研究が進み、実際に病院にいかなくても、医療者・患者さん双方で病状が管理できたり、再燃をいち早くとらえることができたりすることで、よりよい医療が提供される未来が広がるかもしれません。


このGコミュニティのサイトを通しても、多くの方にご支援頂きました、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。


そして、株式会社グッテの宮崎さんとは数年前の米国留学の時に知り合い、こうして一つの事業をともに成功までつなげられたことに感慨深いものがあります。今後とも宜しくお願いします!


https://karger.com/iid/article/doi/10.1159/000543295/918608/A-Pilot-Study-Using-a-Smartwatch-to-Search-for