専門家の記事

はじめまして。

この度、Gコミュニティの保険の専門家として協力させていただくことになりました木代(きしろ)と申します。

 

私は海外旅行保険を専門として15年以上にわたって仕事をしてきまして、今まで多くのIBD(潰瘍性大腸炎、クローン病)をお持ちの患者さんの海外渡航・海外旅行をサポートしてきました。その中で、どこに情報があるのか、誰に相談すればいいかわからなかったというお声も多くお聞きしました。

 

今回はこちらの記事で、IBD患者さんの海外旅行保険選び」について、これまでの経験・知識を皆様に共有させていただきたいと思います。

 

   そもそもなぜ海外旅行保険は大切なのか

海外旅行に出かける際に保険に加入しておくのはとても大切です。

なぜなら日本の健康保険は海外では効かないため、医療費が全額自己負担となり、大変高額となるからです

 

事実、私のお客様の中でも、現地での思わぬ事故や発病により手術や入院をして数百万円や数千万円の医療費が発生した実例がいくつもあります。

 

以前は、医療費が高額になるケースはアメリカやヨーロッパなど先進国が中心でした。

しかし、昨今の海外医療費インフレや円安の影響により、アジアや新興国であっても医療費が高額になるケースが増えてきているのです。

 

こうした事態を鑑み、日本の外務省も、日本人旅行者に対して海外旅行保険に加入するよう注意喚起をしています

外務省「海外旅行保険加入のおすすめ」

 

健康な方でも急に体調を崩したり不慮の事故でケガをするなど、海外で病院にかかることになるリスクがあります。

IBD患者さんは持病の悪化や体調不良などのリスクを考慮して、海外に渡航する際には必ず海外旅行保険に加入するようにしましょう。

 

    IBD患者さんが海外渡航で加入すべき海外旅行保険

IBD患者さんが海外旅行保険に加入する際の注意点です。

渡航期間が短期(31日以内)の場合と中長期(1カ月超)の場合に分けて解説します。

 

31日以内の短期の海外渡航の場合】

海外旅行保険は様々な保険会社が販売しており、旅行期間が31日以内と短期であればインターネットで加入できる保険が多いです。

 

IBD患者さんの場合は、潰瘍性大腸炎・クローン病の悪化についても補償してくれる「応急治療・救援者費用補償特約」が付いた海外旅行保険をおすすめします

「応急治療・救援者費用補償特約」が付いた海外旅行保険であれば、潰瘍性大腸炎・クローン病などを含む持病の悪化・再発により治療を受けられた場合でも、その300万円を上限に補償されるからです。

 

「応急治療・救援者費用補償特約」が付いてインターネットから加入できる海外旅行保険としては、例えば以下の2社の商品があります。

AIG損害保険会社の海外旅行保険

ジェイアイ傷害火災保険の海外旅行保険「たびほプライム」

 

持病以外の病気やケガの医療補償などももちろんついています。

加入プランはいくつかありますが、近年海外の医療費が大幅に高額化しているため、治療救援費用の補償金額を高めに設定しておくと良いでしょう。

 

特にアメリカ、ハワイ、グアム・サイパンなどは世界トップレベルに医療費が高いので、治療救援費用の補償金額は1億円か、上限金額なしの「無制限」プランを選ぶようにしましょう。

 

 

1か月以上の中長期渡航の海外渡航の場合】

留学やワーキングホリデー、海外駐在など、数か月~数年間の海外渡航をされる方からのご相談もよくいただきます。

 

特にIBDをお持ちの方の場合、海外渡航期間が1か月以上となると加入できる海外旅行保険の選択肢は大幅に減ってしまいます。

加入できる海外保険を見つけるためには、海外旅行保険に特化した保険代理店にご相談いただくことも一つの手段です。

IBDをお持ちの方の長期渡航の場合、海外旅行保険に加入できたとしても持病の悪化・再発の補償を付けることができなくなります。

そのため、IBD患者さんが長期の海外渡航されるときは、海外現地での持病の悪化・再発に対してより綿密な対策が必要となります。

 

渡航する国によっては現地公的保険が活用できる場合もありますし、日本の健康保険による海外療養費制度での還付が有効となることもあります。

 

これについては「100%これが正解!」という方法はありません。

その方の健康状態や渡航先の条件など、状況に応じて対策を考えていくことが必要です。