専門家の記事

病気を抱えながら働くことは容易ではありません。私も日々そう感じます。
今回の記事では、現在どのような就労支援制度があるのか、その概要と、
事業主を支える助成金制度が、雇用創出にどうつながるのか、ご紹介いたします。

就労課題は、大きく就職前と就職後に分けることができ、さらに、①就職準備段階、②マッチング段階、③職場適応段階、④定着段階の4段階に細分することができます。厚生労働省をはじめとする各資料においてはこの4段階にて就労支援の説明している資料も多いです。就労支援事業の概要は次の通りとなります。


特徴は、①就職準備段階、②マッチング段階について、職業リハビリテーションとしての支援がハローワークを中心に整えられている点です。

特に全国のハローワークには、難病患者就職サポーターが配置されており、患者の特性や仕事への希望などを総合的に取り入れながら就職に向けた支援を受けることが可能です。(非常勤としての配置も多いため、相談の場合には、各都道府県のハローワークで出勤日などの確認が必要です。)
【全国の難病患者就職サポーター配置一覧】

③職場適応段階や、④定着段階については、ジョブコーチや、各センターの就労相談等を通じて、患者さん一人ひとり、職場一つひとつに応じたオーダーメイド支援ともいえる、寄り添い型のサポートが整備されています。

これらのサポートは患者さん本人を主な対象としており、また、各支援機関は相互に連携することで、準備~選考~就職~適応~定着の不安や悩みなどの課題を総合的に支援し、社会参加や自己実現を果たすことを包括的に支える仕組みとなっています。

他方で、働く本人ではなく、受入側の事業主(企業等)を支える仕組みとして助成金が整備されています。助成金の種類は様々で、雇用創出、職場適応にむけた支援者派遣、正社員登用、職場復帰など、その目的に応じて労働局・ハローワーク、JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)などから助成されます。

今回は、その中でも難病患者さんの雇用創出につながる「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)」についてご紹介します。


◆特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)
 略して特開金(発・難コース)などと呼ばれます。

対 象:障害者手帳を所持していない方で、発達障害または難病のある方
概 要:ハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(一般被保険者)として、
    新たに雇用する事業主に対して助成。

制度の谷間となってしまうような、障害者手帳を持たない発達障害、難病のある方の、
雇用創出や、職場定着を促進するために整備されています。

求職者の方は、企業等への直接応募では該当とならないため、ハローワークを利用し、求人等を紹介してもらい、応募する必要があります。
事業主の方は、ハローワークへの求人申し込みを通じ、所定の条件に該当する場合、申請・審査を経て、助成対象となります。支給総額は中小企業の場合:120万円/人、大企業等の場合:50万円/人です。
詳しい要件等については、労働局・ハローワークへの問い合わせ、または、以下よりご確認ください。
特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)

支給対象期間中に離職となった場合には、原則として助成金は不支給となります。
そのため、一定の配慮や理解が示されることが求められるため、雇用の創出や、
定着の支援につながる助成金だと考えられます。

こうした環境整備を通じた、働き口の開発等について、更なる取り組みが期待されます。