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こんにちは、ジーケアの堀田です。今日はクローン病の患者さん方へのメッセージをお届けしたいと思います。基本的なことではありますが、とても大切で日常の治療にも直結しますのでぜひご確認ください。



1. 自分の病変の部位と重症度を知る


皆さんが初めてクローン病と診断された時には、主治医の先生は必ず病変の場所や縦走潰瘍などの特徴を確認しています。これは診断基準に該当するとても大切なポイントだからです。


クローン病は全ての消化管に病変を起こす可能性がありますので、ぜひご自分の病変が消化管のどこ?にあるのかを意識しましょう。不明な方は主治医の先生にぜひ聞いてみて下さいね。


それでは、なぜそれが大事なのか?それは実際の治療法などに直接関連してくるためです。


例えば、Aさんは小腸に潰瘍がある小腸型クローン病の患者さんなので、栄養療法でエレンタールRによる効果が期待できます。


またBさんは大腸に潰瘍と肛門に痔瘻がある患者さんなので、肛門部の治療は外科の先生と一緒にみていく必要があります。また肛門部は癌が生じる可能性がありますのでしっかりと経過をみていく必要があります。


またクローン病の治療法は病変の部位だけでなく、3つに分かれる重症度(軽症、中等症、重症)にも応じて決まりますので、ぜひこちらも合わせて確認してください。



2. 現在の治療薬を知る


皆さんが現在使用中の薬の名前を確認しましょう。ペンタサR、ゼンタコートR、プレドニンR、レミケードRなど多くの薬があります。

ぜひ現在使用中の薬の名前と、その副作用の内容を確認しましょう。


薬によっては長期間使用していく途中で、数年後に副作用が生じるものもありますので、ぜひ改めて一度主治医の先生や薬剤師の方にご自身の薬のことを確認しましょう。



3. 今後の治療が生涯続くことを意識する


残念ながらクローン病は現在国の難病に指定されており、一般的に完治させることはできないため、生涯この病気と付き合っていかなければいけません。


またクローン病特有の状況として、例えば小腸の病変が悪化した際に手術で繰り返し腸を切除することも珍しくありません。その際には残った腸が手術の度に短くなり、栄養などが吸収できなくなる特殊な状況(短腸症候群(たんちょうしょうこうぐん))になることがあります。そうなってしまうと通常の口からの食事などでは十分な栄養を摂ることができませんので、点滴で栄養を補充する必要があります。


最近は様々な新しい薬が開発されていますので、「適切な治療」を「中断することなく」継続していけば、ほとんどの患者さんで安定した状態「寛解期(かんかいき)」を長く保つことが可能になってきています。


ぜひ定期的な検査と治療を継続して頂ければと思います。


以上の3つのことを、本日改めて皆さんで確認していきたいと思います。


私たちはこのGコミュニティに登録して頂いている患者さん方には「主治医がIBDの専門医かどうかに関わらず」正しい、適切な情報を、しっかりと届けたいと日夜取り組んでいます。


ぜひ何か疑問などありましたらいつでも質問等していただいて、私たちと一緒に今後も継続した治療を続けていきましょう。