こんにちは、ジーケアの堀田です。
本日は潰瘍性大腸炎、クローン病の両方の病気において最も大切な薬剤の1つであるレミケードRに関して、基本的ですが大切なことをご紹介したいと思います。
この薬はいわゆる「バイオ」と呼ばれる、生物学的製剤に分類される薬です。TNFαという物質を阻害することで炎症を防ぎ、病状を改善させることが可能になります。
同じようなメカニズムを持つ薬にはヒュミラRやシンポニー Rという薬があります。これらに関しては今後別の投稿で紹介していきたいと思います。
レミケードRは日本ではクローン病には2002年に、潰瘍性大腸炎には2010年から使用できるようになりました。
レミケードRに関しては多くの大切な内容がありますが、本日は3つのポイントに限って確認していきたいと思います。
1. チオプリン製剤を一緒に使用する
レミケードRを使用する時には、チオプリン製剤(イムランRやアザニンRなど)という薬を一緒に使用する必要があります。これはクローン病、潰瘍性大腸炎の両方において、使用しなかった場合よりも効果が高いことが証明されているためです。
もちろん副作用など様々な理由でチオプリン製剤が使用できず、レミケードRのみを使用される患者さんがいらっしゃると思います。
その場合でもレミケードRの効果は期待できますが、しかし治療を続けていくうちにレミケードRに対する抗体ができてしまうことでレミケードRの効果が落ちていく可能性が出てきます。
そのため可能であればしっかりとチオプリン製剤も続けていくことが大切です。
2. 治療開始後には可能な限り中断しない
ほとんどの患者さんにはあまり当てはまらないと思いますが、時にレミケードRを何らかの理由のために途中で中断し、数ヶ月後などに再開される方がいらっしゃいます。
その場合に、以前には効果が出ていたレミケードRが効かずに病状が悪化してしまうことがあります。
これはチオプリン製剤の時に説明したようなレミケードRに対する抗体ができてしまうことが原因といわれています。そうなってしまうと別の薬に変えないといけません。
そのため決められた間隔の定期的な治療をしっかりと続けていくことが大切です。
3. 大切な薬であることを改めて意識する
最近の数年間で潰瘍性大腸炎、クローン病の両方で新しい薬が多く開発されて実際に使用できるようになってきました。
未だ難病であり完治が難しい病気であることを考えると、1つでも治療の選択肢が多いことは望ましいことです。
このような「治療の選択肢」という考え方はとても大切です。
一生付き合っていく必要がある病気ですので、あるタイミングで病状が悪化した時に使用している薬の効果がなくなると、その場合には別の「治療の選択肢」を使う必要があります。
しかしこの「治療の選択肢」は無限にあるわけではありません。むしろ少なく感じられる数個しかないのが現状です。
そしてこの選択肢を全て使い果してしまうとどうなるでしょうか。その時には手術などの他の治療法を選ぶしかなくなってしまいます。
もちろん現在も新しい薬の開発は世界中で取り組まれていますが、それらの新薬がいつ登場するかは不明です。
そのために現在使うことができるレミケードRなどのような効果の高い薬を、正しく、適切に継続していくことが大切です。
これからも高い効果をできるだけ長期間持続できるように主治医の先生や看護師、薬剤師など多くの方とよくご相談されながらしっかりと治療を続けていきましょう。