患者体験談

今回は潰瘍性大腸炎患者さんのshoさんに体験談をご寄稿いただきました。UC発症後どのように病気を受け入れていったのか、病気の職場へ伝え方や食事で気をつけていることなど参考になりそうな情報満載です。キャリアコンサルタントとしての今後のキャリアも楽しみですね^^ ぜひご一読ください。


ジーケアスタッフ



発症から現在に至るまでの治療の経緯


私が潰瘍性大腸炎の診断を受けたのは2021年1月でした。これまでに4年前に痔でかかったことがあり、今回も痔かなと思っていたところ、どうやら痔ではないということから内視鏡検査を。結果、潰瘍性大腸炎直腸炎型の診断を受けました。


明らかに痔とは違う出血をしていたなと振り返ると感じます。私の場合は下痢はなく、むしろ便秘気味になることが多く、それがトリガーなのか、便秘気味になるほどの食生活や私生活の乱れがトリガーになるのかわかりません。主な症状は下血とガスがたまった感じで、今のところ就労に大きな影響は出ていません。


そのためか、治療の初めは一般的なメサラジン系の飲み薬から始まりました。しかしなかなか下血が収まらず、一時収まったと思っても数日、数週間後にまた少量の下血を確認するなど、だらだらと続いてしまっており、このまま寛解にならないのでは、そのために炎症が広がってしまうのではと不安と焦りもかなりあります。


2021年11月に再度内視鏡検査を受け、炎症は広がっておらず、前回検査(約1年前)に比べるとやや炎症は収まっている様子との診断。しかしこの年末年始で自分でも気が付くほど下血が増え、飲み薬をアサコールに変更となりました。ペンタサ坐剤も半年前くらいから併せて服用しており、脂質と化学調味料を避けながら、寛解を目指しています。


現在のお仕事


現在は大学のキャリアセンターで勤務をしています。大学職員として、キャリアコンサルタントの資格を活かし、学生のキャリア開発や就職支援を行っています。具体的にはキャリア科目の講義(意思決定や職業選択、就職準備、産業構造など)や、学生のキャリア相談、企業との産学連携などを行い、「学生が自らの力で進路選択できる」状態を目指して日々働いています。


病気と仕事の両立


仕事との両立において、上司や所属長の理解をなんとか得ることにまずは力を入れました。正直に、「私は潰瘍性大腸炎です」と申告することに非常に勇気がいりました。


職業人の一人として、家族のために、社会のために、自分のために、仕事を通じて自己実現したり、より高みを目指して頑張りたいと思っていた時期でもありましたので、病気の申告によって、土台が崩れてしまうのではないか、仕事が減ることを通じて信頼も途切れてしまうのではないかと心配したことを覚えています。


その時に仕事が人生の中心ではないなと客観的に振り返り、自分の人生の中心は何だろうと思い返せたことが、上司に自分の状態を伝える勇気につながったと思います。


私の両親は父が遅くまで働いており、子供のころは土日くらいしか家族そろって夕食を食べた記憶がありません。そんな忙しい父や母も土日は自分の時間を満喫したいだろうに私を外に連れ出してよく遊んでくれたことがとても強く思い出にあります。そのこともあって私自身も家族を第一に考えながら過ごしたいなと以前から思っていたことに気づきました。


そう考えると、仮に仕事から少し離れても、家族と過ごす時間が増える・家族のために少しでも健康を取り戻すと思い、上司に打ち明けました。


幸い?なのかはわかりませんが、上司の近親者にも潰瘍性大腸炎の患者さんがいたようで、私の状況に深く共感してくれました。ただ所属長含む役員たちは、この病気についての理解が乏しく(当然ですが)仕事の制約があるなら、まず診断書を出してもらってから相談になります。と事務対応で寄り添いがほしいという気持ちを感じています。


診断書の提出はまだですが、具体的にできること、できないことを明文化して提出したこと。これまで抱え過ぎていた仕事を、本来あるべき部門や担当者に振り分けるなど、仕事の棚卸を行い、「今の私」にとって最適な仕事量で毎日継続して仕事ができるよう心掛けています。


そのためにも普段から職場のコミュニケーションを心がけながら、「この仕事は無理だな」「万が一の時に迷惑をかけるな」というイメージを持った時には、潰瘍性大腸炎のことを話し、理解してもらうようにしています。


職場全体に「私は潰瘍性大腸炎なので、仕事量について配慮してください」とは、やはり言えず、私の他にもきっと、他の持病等で苦しんでいる人がいると考えています。ワークシックバランスを整えられるよう、「今の私」にできる精一杯を職場で発揮しようと思って、仕事に取り組んでいます。


病気になって課題と感じていること


私は食べることが好きで、お酒を飲むことも好きでした。家族と食卓を囲みながら美味しいものを食べたり、お酒を飲みながらの料理が毎日・毎週の楽しみでストレス発散になっていました。


その生活が潰瘍性大腸炎の発症によって、制限されている状態が特に課題です。現在は脂質と化学調味料の制限を行いながら、野菜・魚・ときどき鶏肉中心の食事で、可能な限り無添加食材・調味料を使っています。


しかし、ふと、「今日はハンバーガー食べたいな」「今日はお酒飲んでスカッとしたい!」という気持ちがこみ上げては、今はダメなんだと自分に言い聞かせることが、とても苦しいです。また、私の食事メニューに付き合わされる家族はどう思っているかな、と思うときも多々あります。


そのため最近では子供たちは好きなメニューを選べるよう、一週間の献立作りの際には聞くように心がけています。何が理由でこの病が発症したかわかりません。ストレスなのか、食生活なのか見当もつきませんが、もしかすると食生活なのかもしれないと考えると、子供・妻には絶対に健全な腸のままでいてほしいと強く願うので、私のメニューを中心に献立作りをしようかなと考えています。


病気になっての学びや気づき、支えになっていること


この病になって、食べる(られる)ことへの感謝が尽きません!Gケアの皆さんにも教えていただいたように、活動期にはお粥生活を心がけています。私はまだ寛解期の診断をうけたことがありませんので、この1年常に食事と腸子に気を配っていました。


そうした生活の中、これまであまり食べなかった魚を多く食べたり、野菜を食べたりすることを通じて、食事って本当においしいなと感じることが多くなりました。お粥のみの時もあるからか、味に敏感になったのか、料理・具材の一つひとつを楽しみながら、食べるようにしています。


うちでは食事の際にテレビをつけています。そのためか、発症前はなんとなくテーブルにならんだ料理をおいしいなくらいにしか考えずに食べていました。具材や調味料など気にせずに、「料理」としてしか考えていませんでしたが、今では一つ一つの具材・調味料も味わいながら、感謝しながら食べられるようになったことが気づきです。


支えになっていることはやはりGコミュニティでの交流だと思います(言わされているわけではありませんので)。私は町のクリニックに通院しているのですが、処方や治療についてはよく相談に乗ってくれていると思います。ただ、生活面でどうかや、食事面でどうかについてはなかなか先生も介入しずらいのか、そこまでは時間がないなのか、あまり相談できていない様子です。


Gコミュニティでは同じIBDで悩む患者さんや、この分野で知識豊富な先生方との交流を通じて、「他にも同じように悩んでいる人がいるんだ」「こう対処すればいいのか」など、疑問や不安が解消されます。潰瘍性大腸炎についての理解はまだ社会では薄く、病気のことになると、孤立してしまうように感じます。ここでの交流は私にとって医療サポートや職場サポートを超えた、サードサポートのように感じます。


今後の抱負


私生活ではマイホームの外構工事をしたいことですね(笑)そのための貯金と、どういう風にしたいのかをここ最近は考えています。


仕事や潰瘍性大腸炎については、折角キャリアコンサルタントという資格もあることなので、現在の仕事は継続しながら、IBD患者さんの就労支援やキャリア相談、職場と医療現場を超えたサードサポートのような存在にも興味があります。


この病を経験したことを私自身の人生に何等かの形で残し、活かせるような取り組みをしてみたいと思います。そのためにもまずは寛解導入を達成することが直近の目標です。

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