患者体験談

今回はクローン病当事者で低脂質料理人のゆーとさんのインタビューを元にした体験談をお届けします。料理人を志している中でのクローン病発症。そこから動き続けながら低脂質料理人として他の患者さんをサポートされています。勇気づけられたり参考になる情報も多いと思いますのでぜひご一読ください。


ジーケアスタッフ



ーークローン病の発症はいつ頃ですか?また、発症時の症状や状況を教えてください。


2020年7月頃、クローン病を発症しました。その前に肛門病変(痔瘻)がありました。


2019年9-10月頃から腫れている感じがあり、最初は治ると思って放置していましたが、痛みがあり治らなかったです。


今思うと痔瘻の前、専門学生の頃(4年程前)から腹痛や下痢があったのでその頃からクローン病の症状が出ていたのかもしれません。クリニックで診断を受けました。


ーーこれまでの治療の経緯について教えてください。


痔瘻はクリニックで痛みを和らげる薬を処方してもらっていました。手術をするということで大学病院へ。シートン法(手術)で一年ほどで外れました。


クローン病とわかった後は2週間くらい絶食で退院しました。ペンタサとエレンタール、ビオフェルミンを飲んでいました。


イタリアンレストランで働いていたのですが、クローン病を考慮してもらって半日労働にしてもらいました。でも、クローン病で体調が安定せず休むこともありました。


お店に迷惑かけているということでADHD、吃音症が悪化してストレスでクローン病も悪化してしまい、ステロイドを処方されました。


この状態だと危ないなと思って、会社を退職。その後は症状も落ち着きました。


少し炎症が出てゼンタコートを飲んだ時期もありましたが、今はペンタサとエレンタール、ビオフェルミンのみです。


ーークローン病と診断されてどう思いましたか?


クローン病と言われた時に、聞いたことはあるがどういう病気かわからなかったです。


調べると「難病」という言葉が出てきて、自分の病気は難病だと思いショックが大きかったです。自分は料理人をしているので消化器系の病気でどう生きていこうかとショックを受けました。そこから色々考えてしまいました。


月に3回都内のレストランの食べ歩きをしていましたがそれもできなくなったし、料理を作っていて味見も躊躇するようになりました。料理を食べることが好きなのに制限をかけられてしまったのがとにかくショックでした。


料理に関して不利な状況になりました。そこでツイッターを初めてIBD界隈の色々な方のツイートを見ているうちに食事に困っている方がたくさんいることがわかりました。


日々の料理に苦戦している人が結構いました。自分は料理の仕事をしていきたいと思っていたので、今までの経験を活かしてIBDの界隈で何かできないかと思い、料理を作っていきたいと決意。


クローン病になったことをシェフに話した時にイタリアン料理でやっていくのは厳しいと言われました。ただ病気の人に作っていくのは良いと背中を押していただいて決断しました。


診断後退院してすぐに決めました。診断して2週間でかなり泣いたし友人に相談したりもして・・・。ただ自分で何か行動を起こして変わらないといけないと思いました。


早く行動して自分を変えていこうと思いました。小さな行動から積み重ねていきました。入院している時にも、低脂質のレシピを書いていました。


ーー食事療法は?


普段は、1日2食にしています。朝はあまり食べず昼と夜食べています。料理はレシピ集を作っているので、その試作品を食べている感じ。朝は消化が悪いと聞いているので、暖かい飲み物くらいです。


消化管を休めることを意識して夜は20時以後は食べないようにしています。毎日試作を3品ほど食べることがあるので、調整しています。


エレンタールは1日2本食事のタイミングで飲んでいます。診断後からずっと飲んでいます。エレンタールは味が美味しくなく甘いので飲みづらいです。いろいろ試しましたが、今はヨーグルトと青リンゴのフレーバーを混ぜて飲んでいます。


ーー元々料理人になろうと思ったきっかけは何ですか?


小さい頃から親のお手伝いで料理をやっていたので、調理することの楽しさを知っていました。高校生になって友達に料理を作って美味しいと言ってもらったのが嬉しくて友達のお弁当を作ったり、料理パーティーを開いたりしていました。


それを趣味としてやっていたので、趣味から仕事にすると楽しいんじゃないかと思ったのがきっかけです。


ーー料理人になってからはどうでしたか?


専門学校に2年間通って、イタリアンのレストランに入りました。2回くらい転職を経験しました。イタリアンにしたのは、パスタ・ピザが好きでその料理が作れるのが楽しいし、好きな時に自分の好きな料理を食べれるのが良いなと思いました。脂っこいものが大好きでしたね。


初めに入った会社は労働時間にムラがあり、生活リズムが狂って、夜帰る時にマックなどを食べることもありました。怒られることも多くてお腹に違和感を感じることも多かったです。お腹に負担がかかっているのが自分でわかっていました。


ーーオンライン料理教室をされていると聞きました。どのようなことをされていますか?


オンラインの料理教室とレシピ集を販売しています。


オフラインで直接患者さんと会ってのパーティーを開いたこともありました。10人くらい参加があり、IBDの話題で盛り上がりました。いろんな相談や悩みを打ち明けられる時間になりましたね。


オンライン料理教室は、毎月料理を更新しています。空いている日に1回2-3時間で週に5枠くらいやっています。料理を作って、試食して、そのあと交流会のイメージです。


料理についてアンケートを取ってみると、洋食が多かったです。見た目がジャンクぽくっても低脂質で食べられる料理が人気。スイーツやお菓子も人気があります。


ーーオンライン教室のメリット、デメリットについて教えてください。


オンライン教室の難しさは、画質の面で細かいところは伝えられない。直接食材の状態を見れないのでアドバイスするのが難しい部分もあります。


見た目でわからないので、喋りながら食材の状態を理解していくため言葉で探っていきます。コミュニケーションが大切。オンラインで良いのは全国から受けてもらえること。そこはありがたいです。直接、オフラインだと参加できる方が限られてしまいますから。


ーー一般の人向けのレシピと比べて、IBD向けのレシピを考えるのは難しいこともありますか?


IBDレシピを作るコツは旨味です。低脂質だと物足りない部分があるので、旨味をうまく使う。油を使えない、低脂質なのでパサパサになりがちです。しっとり仕上げられる温度帯や火入れの時間を調整することで補うことができます。


難しい点は食材が限られているのと、人それぞれ症状も異なるので、そこは事前に伝えます。使える食材が限られるので、その中でいろんなレシピを開発していくのは結構大変です。


ーー仕事で工夫していること、意識していることはありますか?


普通の料理教室やレシピ集でもそうですが、病気の人を相手にしているのでよりデリケートに対応していきます。患者さんに寄り添ったレシピ集やオンライン教室にしています。


人それぞれ症状や食べられるものが違うので、そこに関しての注意喚起やこの食材を使って大丈夫かなどを聞いてやっています。逆にニンニクが大丈夫な方は入れた方が美味しいですよなど伝えています。


ーー生活上で工夫していること、気をつけていることなどありますか?


自分自身で生きやすい環境を作っていくことが大切と思います。病気はオープンにしていてこういう病気というのを伝えて、友達と遊びにいく時に考慮してもらって、遊びにいきます。


自分の体が一番大切なので考慮してもらっています。打ち明けないでいるとどっかしらで無理してしまう部分があると思う。そういった面で伝えていないと脂っこい料理ばっかりとかお酒飲まなきゃということもある。そこを伝えていきます。


そうしたから一気に楽になりました。診断初期に恋愛面でフリになるのではないかと隠しましたが、それが辛かったので、病気を受け入れてくれる人と付き合った方が良いと思って、打ち明けたら楽になりました。


当時付き合っていた人とはお別れすることになりましたが、今のパートナーは潰瘍性大腸炎でお互い理解できるので気が楽です。


ーー今後の目標や夢はありますか?


本の出版を実現したいと思っています。今は電子書籍でレシピを出版しているので、本で出版したいです。


それから、IBDの食事のカウンセリング。腸管系の知識を深めていって、栄養面の勉強もしていきたい。IBDは人それぞれのなかで自分でヒアリングしてその人に合った料理を提供していく。パーソナルな料理人です。


ちょっと前まで冷凍食品の通販をやりたいと思っていました。イタリアンにいた時はIBD食で通販をやっていた。通販できるキッチンの許可が必要だが規定が厳しいです。通販できるキッチンがあればやりたいと思っています。でも、場所に縛られたくないです。


また同じIBD患者さんに働いてもらうことも面白いと思っています。


ーー診断直後の患者さんへのメッセージ


自分が変われたのは目標があって行動があったから。この病気になると人生設計が崩れてしまうが、もう一度しっかり人生設計を見直して、そこから目標を決めてすぐに行動に移していく。自分は目標をいろんな方に伝えていました。


自分自身で逃げれない環境を作る。自然と行動するようになるし、目標をいろんな方に伝えることで協力してくれる人、つながりが増えました。


ずっと悩んでいてもしょうがないので、とにかく行動することが大切だと思います。あとは自分の体を一番に考えてほしいです。仕事も無理しちゃうとすぐに悪化してしまうので、仕事が辛かったら変えるべきだと思います。


自分が生きやすい環境を作っていくのが第一だと思います。


ーー料理教室やレシピ集についてメッセージ


料理教室は主婦の方が多いがIBDのお子さんやパートナーに美味しいものを作ってほしいという方も多いので、美味しいものを作れるようになりたい方、満足する料理が作り方は来てください。


IBDに関するお悩みや相談にも乗りますのでお気軽にレッスンに来てください。レシピのニーズなどもお待ちしています。


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