患者体験談

今回は入社後に潰瘍性大腸炎を発症し、その後病気と付き合いながらもキャリアと向き合われているYukikoさんの体験談です。度々入院を経験しながらも自己研鑽に励みつつ、自分のやりたいことを模索されている姿にいつも勇気をもらってます。ぜひご一読ください^^ グッテスタッフ
ーー発症時の状況
最初に勤めた会社で、入社してから5年後に潰瘍性大腸炎を発症しました。お腹の違和感や腹痛が長期間続き、下血したのでただ事ではないと思いましたが、仕事が忙しくすぐに病院にいけない状態でした。
2ヶ月後にようやく病院に行き、潰瘍性大腸炎の中等症と診断が下った時には体重は3kgほど落ちていました。
当時の仕事はセールスプロモーションと言われる職種で、展示会の企画・実行、HPの作成・運用、イラストレーターを使ってのDM作成、売上集計業務等の事務系の仕事をしていました。海外からの来客の接待で会食も多かったです。仕事内容は難しくはありませんでしたが、仕事量が多く毎日の残業や度々の休日出勤で身体は疲弊していました。
潰瘍性大腸炎を発症してからは社長と上司、同じ部署の後輩に病気の説明をしました。後輩はかなり気を遣ってくれていましたが、社長からは発症後も出張や会食の要求がありました。それを全部後輩が代わってくれたので助かりました。
それでも難病の診断を受けただけでは仕事量は変わりませんでした。体調が増悪し、入院をした後に何とか配慮してくれるようになりました。負荷がかからない体制を敷いていただいたのはありがたかったです。また降格などもありませんでした。
ただ、重要な仕事は全て後輩に流れてしまい「自分の存在価値って何だろう?」と虚無感を抱えていました。
ーー転職活動
転職のきっかけは、症状が増悪し入院をしたことでした。当時、プライベートでベトナムの社会起業家を支援するプロジェクトに参加し1週間ほど現地に滞在して活動したのですが、帰国後に激務が重なり重症化してしまい、2ヶ月間の入院を余儀なくされました。
病気の発症前に描いていた自分の夢を実現させようと思い、体調が安定しない中で歯を食いしばって勉強して活動に参加していたのですが、それを全否定された気持ちになりました。
また激務の原因は上司や社長の判断遅れやミスで、本来ならしなくていい余計な仕事が増えたり、期限が少ない中でやり切らないといけない状況を強いられていると考えるようになり、環境を変えるべく転職活動を決意しました。
しかし内心は難病だから難しいのではとも思っていました。不安もありましたが転職エージェントに登録し担当者と面談しました。
面談では難病のことも正直に伝え、体調が悪い中でもTOEICなど英語の勉強やセミナーなどでの自己研鑽を重ねてきたことを伝えました。担当者はとても前向きで「難病患者さんの対応をするのは初めてだけど全力で応援します!」と真剣に向き合ってくれました。
その後エージェントから2社紹介があり、そのうちの1社の募集は新規事業の部署でした。難病者の私ができるだけ楽に働けるように、コアタイムなしのフレックス制度がある会社でした。人材として英語ができる人、かつプロモーションの経験がある人を募集していたため、自身が積み上げてきたものを活かせると思いました。
採用プロセスでは病気のことを開示し、人事には入院歴なども伝えました。面接は一回で執行役員の方が相手でしたが、病気のことは特に聞かれず、自分から通院が月1回あることを伝えた程度で採用となりました。
毎日の痛み・倦怠感、薬の副作用との闘いで将来の不安に押しつぶされそうになりながら、それでも自分のありたい姿を想像して勉強を続けてきた努力は転職という形で実を結びました。
難病者の自分が転職するのは無理だと決めつけず、必ず今のこの自分を見てくれる人、分かってくれる人はいると信じて頑張って良かったと思います。
ーー現在の職場での仕事
転職直後は新規部署のセールスプロモーションに関わっていましたが、その後異動し、現在は事業企画の仕事をしています。事業の予算作成や計数管理、予実分析といった仕事内容です。
事業をどう成長させていくかという成長戦略を考えたり、現状の課題は何でどうやって解決するかといった問題解決を考えて数字に落とし込んでいきます。
この仕事はセールスプロモーションと違い、経営者の視点が求められます。業務に必要な知識が足りなかったため、経営塾に通い戦略思考、問題解決、アカウンティングといった知識を学習しました。奥が深い領域なので、今でも学び続けています。
今の会社に勤めて7年目になりますが、これまで病状の増悪等で3回休職したので、実際に働いている年数は3年半程度しかありません。
それでも、職場のサポートや理解もあり入退院をしながらも仕事を続けることができています。
ーー今後の展望
病気になる前に持っていたキャリア像が病気によって実現できないことに関して気持ちの折り合いをつけるのが難しいですが、まずは会社に頼らないで独立できるようになりたいです。独立できると自分で自分の時間をコントロールできるようになるのではと考えています。
毎日の痛み・倦怠感との闘いでまともに座っていられない日も多いですが、それでも自分が学んでいる塾のクラスに通うと志を持った人達の学ぶ熱意に触れることができ、それに助けられています。
自分は難病者ではありますが、同じクラスの健常者の方でも自分に負けないくらいの厳しい状況・環境に身を置いている人も多いです。
それでも目指す自分の姿があるから歯を食いしばってクラスに通っています。
そういう意味では、健常者/難病者といった違いはありますが、クラスという同じ土俵にあがる以上条件は一緒なので、あとは自分の気持ちや熱意で他の人に負けないようにしています。
就職活動・転職活動をするときにはどうしても難病というのは不利になりますが、もっと大きな人生という枠で考えた時に病気というのは自分のキャリアになると思います。お腹の痛み、倦怠感、副作用に加え心の辛さ、しんどさを味わいながらそれでも負けずに踏ん張って働いている。
そういう経験を積んだ分、必ずそれが自分の軸になっていると思います。
自分の中にそういう軸が一本通っていれば、難病という表面上のうすっぺらいものではなく、その軸をみて判断してくれる人はいると信じています。
私が転職活動で経験したように、そういう自分の軸を見てくれる人と将来一緒に仕事ができれば楽しいなと思います。
コメント一覧
コメントはありません。