患者体験談

ーー診断前の状況


当時は書店で働いていたのですが、日勤夜勤が入り混じり、かなり不規則な生活を送っていました。


ある日おならをしたいのにレジから離れられず、ずっと我慢をしていた日があり、その直後(2005年11月の終り頃)から粘血便が出るようになりました。


実は17歳の時に1年間、26歳ぐらいの時に数か月間粘血便が出ていたときがあり、そのことを全摘した外科医に術後話をしたところ「発症はその時だろう」とのことでしたが、その時はそれ以上の症状が出ずにほったらかしていたら突然止まっていたので、今回も同じだろうとほったらかしにしていました。


しかし1か月ぐらいたったころから腹痛と下痢が始まりました。


そのときも粘血便と絡めて考えることはせず、何か変なものを食べたのかなぁと思い、自主的に食事制限を始めただけでした。


ところが年末になり、年始になり全く改善せず、それどころか簡単なものしか食べなかったせいか、何も口にしないとみぞおちが痛くなるという現象が付け加わり、二進も三進もいかなくなったので、そこではじめて近所の胃腸科を標榜する診療所へ行くことにしました。


ーー診断を受けた後の悩み・不安 


診療所の医師に問診を受け、直腸診をされて言われたのが、「おそらく潰瘍性大腸炎。これは治らないよ。まだクローンじゃなくてよかった」でした。


この時初めて潰瘍性大腸炎という言葉を聞いたので、病名を聞いてもピンとこなかったのですが「治らない」と聞き、生まれて初めて目の前が暗くなるというか呆然とするという経験をしました。


ーー家族、親戚、友人に伝えたときの反応


親には言ったのですが、私自身どういう病気かよくわかっていなかったので、病名と薬が出たことだけを伝えただけのため、その時点では特に大きな反応はなかったです。


ーー診断された後に取り組んだこと 


とりあえずペンタサとみぞおちの痛み(十二指腸潰瘍といわれました)用の薬が処方されたのでそれを飲み、内視鏡の予約日が来るまでの4~5日は有休をとって会社は休むことにしました。


当時は内視鏡をしてしまえばなんかよくなるんじゃないの?と適当なことを考えていました。


ーー仕事で工夫していること 


内視鏡の予約日になる前に、どんどん悪くなり、夜間に1時間に1回、30分に1回と、どんどんトイレの間隔が狭くなり、痛みもひどくなったので自分から診療所の医師に言って入院できる病院を紹介してもらい、即日入院となりました。


そこから絶食、IVH、プレドニン静注、白血球除去、ステロイドパルスと治療を行ったのですが好転せず、入院から3週間ほどたったある日の夜、血が止まらなくなり倒れてしまいました。朝に大学病院に転院、その日の深夜に緊急で全摘手術となりましたので、仕事での工夫はないです。


ーー大腸全摘後のこと


私が受けた術式は直腸粘膜を残さないIAA3期分割の開腹手術です。2月、4月、6月と手術を受けたのですが、2月から6月まではストーマで過ごしトイレの感覚ってどうなるんだろうと不安でした。


しかしストーマを閉鎖した後便意を感じることができましたのでほっとしたことを覚えています。


ただ敏感に感じすぎるのか夜間に起きることが多く(ストーマ時代も寝ているときの排液が多く、朝起きたら袋がパンパンとなっていることが普通でした)、夜間に4~5回起きていたこともあり、寝不足になってしまいました。


寝不足ではありましたが漏れがなかったので、特に何も考えることなく7月に仕事に復帰していました。


ここで思ったのは、家で過ごしてリハビリするよりも、仕事するほうが機能回復には都合がいいのかなということです。


家では便意を感じたらすぐにトイレに行けますが、仕事だとすぐにトイレに行けなかったり、トイレが汚いので我慢してきれいなところへ行こうといやでも我慢しなければいけない時があるからです。


ーーIBDと診断された方へのメッセージ


私が発症した当時は、治療法と言えば上記の治療と免疫抑制剤くらいしかなく、治療の選択肢が少ないものでシクロスポリンがダメなら手術を、という感じでした。


しかし今は生物学的製剤の登場で治療の選択肢も増えてきました。なかなか思うように病状をコントロールできないこともあるかと思いますが、悲観することなく前へを進んでいただけたらと思います。

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