患者体験談

今回は潰瘍性大腸炎のきなこさんに体験談を寄稿いただきました。

体験談3部作の第一弾です。

体験談①では発症、診断、治療、診断された時の気持ち、食事や生活で気を付けていることを綴っていただいています。多くの方に参考になるのではと思います。ぜひご一読いただければと思います。

 

グッテスタッフ



Q.潰瘍性大腸炎又はクローン病の発症はいつ頃ですか?また、発症時の症状や状況を教えてください。

私は今から約30年前の中学2年生のときに、全大腸炎型の潰瘍性大腸炎と診断されました。症状は中学1年生の冬頃に血のようなものが付着した便を見た記憶があるのでその頃から発症していたのだと思います。また同じ頃から肘の関節痛もあり、接骨院に通ったりしていました。

中学2年生の夏休みに水様の下痢や粘血便が頻回に出るようになり、初めて近くの内科のクリニックを受診しましたが、胃腸炎と診断され、整腸剤と下痢止めを処方されただけでした。もちろん治まることなく数か月が経過した頃、運良く家の近くに総合病院の消化器内科の医師が開業されたのですぐに受診しました。そして検便によりすぐに潰瘍性大腸炎を疑われ、近くの総合病院に紹介され、初めて大腸カメラを受けました。ほぼ潰瘍性大腸炎確定で、極度の貧血もあり、車椅子に座らされて即入院となりました。



Q.これまでの治療の経緯について教えてください。

私はずっと薬物療法のみで過ごしています。診断後から毎朝、5-ASA製剤(ペンタサ錠→アサコール錠→7年前~リアルダ錠)の内服、症状悪化時にはステロイド薬(プレドニン錠やステロネマ注腸、リンデロン座薬)または5-ASA製剤のペンタサ注腸やペンタサ座薬を使ってきました。

8年程前から生物学的製剤が使えるようになったので、シンポニーの注射を開始しました。4回目の投与後から効果が出始め、しばらく落ち着いていましたが、4年程前に新型コロナウイルス感染症が流行し、コロナワクチンを接種すると悪化するようになりました。また、3回目のワクチン接種から半年程して帯状疱疹になってしまい、免疫抑制作用の少ないステラーラという生物学的製剤に変更になりました。しかし、ステラーラの効果はシンポニーより低めで、レクタブル注腸やリンデロン座薬を併用しながら軽症を維持する状態が続いています。そのため、シンポニーに戻すか別の生物学的製剤の使用を検討中です。



Q.診断された時のお気持ちや印象に残っていることは?

正直ホッとしたのを覚えています。検便を出せたこと、潰瘍性大腸炎を知っている医師に出会えたこと、大腸がんではない病気ということが分かり、ようやく血便から解放されるという喜びが大きかったです。しかし、当時の私は“難病=不治の病”と理解し、医師からは「一生ずっと薬を飲まなければならない、妊娠出産は寛解期が望ましい、特に産後は悪化する」等と説明されたので、妊娠出産に対する不安が増し、恋愛や結婚に対しても後ろ向きになりました。また、「10年経過すると大腸がんになるリスクが上がる」とも言われ、つまり私は結婚出産の適齢期に大腸がんで死ぬ確率が高い、もし子供が産めても早死にする可能性が高いということかと、じわじわと悲しみと絶望感に襲われるようになりました。

また、入院中はしばらく絶食だったので、料理やグルメ番組を見るのが辛かったです。退院したら食べたいものを手帳に書いていたりして、退院後の自分へのご褒美を考えていました。実は楽しみにしていた文化祭直前の入院だったこともあり、担任の先生が文化祭の様子をビデオレターのように病室で見せてくれたときは感動しました。ほぼ毎日学校の様子を教えてくれたり、宿題やプリント類なども届けてくださったりしたお陰で、孤独感が和らぎ、学校や勉強に対して不安になることはありませんでした。また毎晩、仕事帰りの父の車が病院の駐車場に入ってくるのを病室の窓からワクワクしながら眺めて待っていた記憶もあります。母は家族の世話や家事のため病院にあまり来られなかった分、父が毎晩来てくれたお陰で寂しさも紛れました。



Q.食事や生活で気をつけられていることはありますか?

約30年前の当時は、退院前に栄養士から“揚げ物や生野菜、海藻類やキノコ類等の消化に悪いもの、乳製品は禁止”というようなわりと厳しい食事指導をされ、母は毎日病院食に近いメニューや和食中心の食事を作ってくれました。学校の給食では、牛乳をオレンジジュースに、ヨーグルトはゼリーに変更し、他のおかずは自分なりに判断して食べていました。

大学に入り、新しい主治医から“潰瘍性大腸炎の場合は、食事はそれほど制限しなくて良くなった”と聞き、とても気持ちが楽になりました。一人暮らしを始めたこともあって、コンビニの利用も増え、イタリアンや中華、焼き肉、飲み屋などに友人や部活仲間と食べに行く機会も増えました。一人のときは和食にするなどあまりお腹に負担のかからない食事にするようにしていました。

今も自分のお腹の調子に合わせて、外食のメニューやお店をできるだけ選ぶようにはしていますが、どうしても相手に合わせたり、我慢したりしてしまう時は多々あります。主治医からは、辛い物や刺激物を避けることとお酒の飲みすぎにだけは注意するよう言われています。

 また、私はどちらかというと便秘型の潰瘍性大腸炎のため、夜更かしをしたり食生活が乱れたりすると、余計に便秘になったり悪化しやすいです。予定がなく自分のペースで過ごせる日は、できるだけ規則正しい生活と食事を意識して、排便習慣の乱れを修正するよう努力しています。


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