患者体験談

こんにちは。クローン病歴37年のSALEMOOMです。
MOONかムーンと呼んで下さい。
ーー診断前から確定診断まで
私は長男に生まれ、父の職業の後継ぎなることを過度に期待されていました。
そのため少しでも成績が良くないと父から罵倒され、それは言葉によるDVでした。
体に異変を感じるようになったのは、大学受験を控えた高3の冬。
1月位から下痢と腹痛が始まり、2月~高熱が出ていたので、4月の大学の入学式には出席できず、病名もわからないまま入院となりました。
最初は感染症を疑われて循環器科でしたが、約1カ月後にクローン病と確定診断されました。
入院していた病院は訳あって自宅からは遠い他府県でした。
それまで一度も入院先に様子を見に来た事がなかった父でしたが、当時の主治医から呼ばれ、病気の説明を受けてようやく難病である事を理解したようです。
どのような説明であったのか後で聞いたら、「一生治らない病気で、手術をしても腸がどんどん短くなって終いには死んでしまう。家で好きなことをさせてあげて下さい。」と言われたそうです。
それ以降、父からDVを受けることはなくなり、その時の主治医には今でも本当に感謝しています。
ーー診断後の生活環境
最初の入院先から、地元でIBDの専門医のいる病院を紹介して頂き、プレドニンと当時発売されて間もないエレンタールでの治療で寛解しました。
最初の入院から約1年が経過していました。
大学にはほとんど出席ができなくて、その先の体調が不安であったため、1年で中退しましたが、病名が分かった事とエレンタールと食事制限で寛解していたので、あまり不安は感じませんでした。
むしろ、親からの期待が無くなったことで肩の荷が下りたような安心感さえありました。
さらに1年間の自宅療養後、自分のやりたかった分野の専門学校に入学しました。
他府県の学校でしたが、祖父母の家から通学できることで一人暮らしの心配もなく、充実した学生生活を過ごすことができました。
親元を離れて今までと違った生活環境がその時の自分には合っていたと思います。
その後、就職、結婚、子供も2人授かり、仕事では上司からのパワハラに十数年耐えましたが、42歳までは病院へほとんど行かず、食事制限も自分で勝手に緩くしても体調を崩すことが無かったため、生活には支障がありませんでした。
ーー22年後の再燃
40歳になる少し前から時々腹痛がするようになりましたが、いざとなれば「またエレンタールと食事制限をすれば大丈夫だろう」とたかをくくっていました。
ところが42歳になったある日、突然の腸閉塞で緊急入院し、回腸を部分切除する手術を受けました。
その時も手術をすれば「また好きな物を食べられるようになるし、以前のような普通の生活に戻れる」と自分に言い聞かせていましたが、その時の執刀医からは「クローン病は手術をしても絶対に完治はしないので、内科の先生の言う事を良く聞いてエレンタールはやめないで下さい。そして私と二度と会うことがないようにしましょう。あなたならきっとそれが守れると思いますよ。」
いただいたお言葉はこれからも忘れないでしょう。
ーー別の病気が発覚
手術後、小腸内の潰瘍の治療のため、イムラン(1年飲んだが全く効かず)→レミケードで内視鏡的寛解になりました。
レミケードを始めてから2年ほど経った時、体のふら付きと右耳が突然聴こえなくなりました。診断は聴神経腫瘍という良性の脳腫瘍でした。
腫瘍は手術をすることなく放射線治療でそれ以上大きくならないように止まりましたが、内科の主治医からは「レミケードはやめましょう」と提案がありました。
レミケードが原因で腫瘍が悪性化する可能性はゼロではないため、という判断でした。
その代りの条件として、ペンタサ、エレンタールと食事制限は今まで通り続けることでしたが、手術後から続けている事なので、これまで通りの生活をするだけでした。
ーー支えになったこと
24歳で就職するまでは親から経済的な援助は受けていましたが、治療は自分の意思で受け入れていました。
再燃後は妻が食事のことを色々考えてくれて、今では一番の理解者です。とても感謝しています。
ーーIBDと診断された方へのメッセージ
レミケードをやめてから9年が経ちましたが、今のところエレンタールと自分に合った食事で寛解を維持できています。
次の目標は下痢の克服です。できればこれ以上の薬に頼らずに、食事や生活習慣で改善できる方法を模索しています。
この病気は原因がわからないため、治療もこれと言った正解はないと私は思っています。
主治医の先生とも相談しながら最善の治療を受けるのは言うまでもありませんが、ご自身でも何かできないか考えてみて、迷うなら相談してみて下さい。
直ぐには結果が出ないかもしれませんが、5年後10年後に少しでも良くなっていればいいくらいの気持ちで緩くチャレンジしましょう!
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