J-FORUM 2023 国際患者団体交流会
2023年12月18日、 J-FORUM 2023への参加レポートです。
J-FORUM の記念すべき第1回目の開催が2023年12月に開催されました。今後、2回目以降の開催も十分にあると感じました。参加者としては、患者会や疾患ネットワーク、患者コミュニティなど何かしら疾患や病気に関する団体(疾患も様々)が10団体ほど集まりました。主催者はGlobal Healthy Living Foundationです。
Global Healthy Living Foundationとは
Global Healthy Living Foundation(以下、GHLF)とは、慢性疾患 (関節炎、骨粗鬆症、片頭痛、乾癬、喘息、脱毛症、炎症性腸疾患(IBD)、心血管疾患など) を持つ人々の生活の質を向上させることを使命とする米国ニューヨークに拠点を構える患者支援団体です。今回は共同創業者の一人であるSeth Ginsbergが来日されました。彼自身も脊椎関節炎患者であり、関節炎に苦しむ人々のために世界初のオンライン患者コミュニティ「CreakyJoints」の設立に貢献された方です。患者支援団体として、患者のアドボカシー(権利擁護)、患者中心の研究、正しい情報の提供、ポッドキャスト、患者教育など様々な分野に力を入れています。

参加団体
参加団体をいくつか紹介させていただきます。(本当は全ての団体についてお聞きしたことを記載したい気持ちですが若干割愛させていただきます)
IBDネットワーク:炎症性腸疾患の患者会の連絡組織、現在はNPO法人。疾患啓蒙に課題を感じられている様子でした。
精神障害当事者会 Porque:精神疾患の強制入院は長期間にわたることがあること、スマホなどが使えず社会と断絶されてしまうこと、入院中に教育を得られないこと、日本の精神障害に対する医療機関の取り組みの課題など
円形脱毛症コミュニケーション協議会(JAAC):頭のイメージがありましたが全身が脱毛する。患者団体として立ち上げ初期でNPO法人化が課題とのこと
日本アトピー協会:アトピーという名前が有名であるが故に間違った情報も多く、正しい情報へのアクセスが重要。
J-FORUM 2023への参加
私はどこにでもいるIBD患者の1人として参加させていただきました。各団体の自己紹介だけでも大変勉強になりました。たとえば疾病が変われば抱えている問題が違うこと、団体の歴史が長いこと/立ち上げ初期でも問題が違うこと、そして私自身IBDの認知が拡がってほしいなと思いながら他疾病に対してあまりにも知らなかったなと気付かされました。予想外だったのはアトピーのように知名度が高くとも正しい情報が必要な人に伝わらない=適切な治療がスタートできないといった課題があることです。どの疾患においても共通した認識として、疾病の認知向上と正しい情報伝達を課題に感じられているように感じました。
Advocacy
気になったトピックの一つにadvocacyがあります。これは社会的に弱い立場にある人たちの権利を守る/主張を代弁するという意味合いの言葉です。米国では州ごとに法律が異なるため州議員にコンタクトし、患者の声を届けるといった活動が重要になります。GHLFではこの活動を補助し、正確な情報、ウィンウィンの関係に気付ける提案の仕方など建設的な議論が出来るよう手助けをされています。
私としては米国と日本とでバックグラウンドは違うが、一患者が議員にコンタクトを取りに行くという行動力に驚かされました。日本ではSNS上などで、同じ疾病の患者がつながりこういった問題があるよね、これがよくなったら便利だよね、という話をする事があります。そういった共感の一歩先に、声を届けるAdvocacyがあるのかなと感じました。
何ができるだろうか?
医療格差:希少疾病であるほど、専門医が不足しているという話が多数ありました。東京には専門医がいるが地方には少ない、患者数が日本には少ないが全国に散らばっている、首都圏と地方の医療格差などなど。その解決策の一つとして遠隔医療が方法の一つとして挙げられました。
患者の声を反映:治療ガイドラインは専門医が中心となり作成されていることが多いと思います。患者としてはもちろん治療も大切ですが、それ以外に日常生活での問題をどう解決したらいいか?ということも重要になってきます。治療ガイドラインに患者の意見をもっと反映していく、患者が気になる・心配なTopicを研究してもらう、そういった声を反映してもらうこと大切だと感じました。もちろんその情報が拡散され患者にきちんと届くことも大切だと思います。

全体を通しての感想
米国のやり方をそのまま日本でフィットさせる事は、文化や物事の進め方も違うので難しいかもしれません。ですが、GHLFが蓄積してきた成功体験から活かせるものを学び、日本流に活かしていくことは出来るんじゃないかと思いました。不平不満を言うだけではなくて、声を行動に変えていきたいなと感じました。この日の体験は一歩を踏み出そうかなという勇気を与えてくれたと思います。