質問&おしゃべり

みなさんこんにちは、グッテスタッフです。

5月17日に開催したIBDコミュニティ2025 in 京都大学〜未来を語ろう、仲間と医療/食との出会い〜」にご参加いただいた皆さまありがとうございました。

当日の内容をレポートします。

 

 

IBDコミュニティ2025 in 京都大学〜未来を語ろう、仲間と医療/食との出会い〜」

後援:NPO法人IBDネットワーク、大阪IBD、みえIBD、姫路IBD

お土産提供企業:亀屋良長、宇治の露製茶株式会社(福寿園グループ会社)、エームサービス株式会社、伊那食品工業株式会社、キューピー株式会社、日清オイリオグループ株式会社、ハウスギャバン株式会社、SUNAO製薬、アートプロデューサー高岩シュン&〈食〉のセレクトショップ YOLOs よろず、株式会社グッテ

 

今回のイベントは京都大学医学部附属病院消化器内科と株式会社グッテの共催によるもので、今回で3回目の開催となります。

初のリアルイベントとして実施され、IBD患者やそのご家族、医療従事者、支援者など、70名以上が参加しました。

 

講演①:京都大学 潰瘍性大腸炎治療薬開発プロジェクトの研究概要・進捗報告

京都大学医学部附属病院の塩川雅広医師が、潰瘍性大腸炎に関する最新の研究成果について講演しました。

塩川医師の研究では、潰瘍性大腸炎患者の血液中には「抗インテグリンαvβ6自己抗体」が高頻度で存在し、病気の進行に関与している可能性があることが発見されました。この抗体を標的にした血液検査や、抗体を除去する新たな治療法の開発が進められており、2027年には治験開始を目指しています。これにより副作用を抑えつつ、根本的な治療につながると期待されています。また、この抗体は発症の10年前から検出されることがあり、将来的には早期発見や予防にも活用が見込まれます。

 

講演②:IBD食事療法研究・実践の最前線

機能強化型栄養ケア・ステーション鈴鹿の中東真紀氏と米国登録栄養士の宮﨑拓郎氏が、IBD患者の栄養管理について講演しました。

IBDでは病期に応じた食事が重要で、活動期には低脂質・低残渣、寛解期には食物繊維や良質な脂質の摂取が推奨されます。最近は地中海食の有用性が注目され、IBDの症状の改善だけでなく、生活習慣病予防にも効果が期待されています。中東氏は、地中海食は日本の京料理とも共通点が多く、日本の食卓にも取り入れやすいと述べました。また、家族と食卓を囲むことの重要性も強調され、食事療法は家族全体の健康にもつながると締めくくられました。

 

交流会:交流ブースで医師、栄養の専門家、患者が自由に交流

講演の後には、医師、管理栄養士、患者当事者に分かれたブースでの交流会が行われました。

●医師との交流ブース

塩川医師・桒田医師との交流ブースは、最も多くの参加者が集まるブースとなりました。参加者からは、病状や治療に対する不安、そして研究の実用化を心待ちにする切実な声が多く寄せられました。中には涙ながらに思いを語られる方もおり、深い不安と希望を抱えて来場された様子がうかがえました。

医師からは研究の進捗や今後の展望に加え、現在の治療でも多くのケースで病状コントロールが可能であるとの励ましの言葉が伝えられました。寄付や研究内容についての質問も多く、患者と医師の貴重な交流の場となったのではないでしょうか。

 

●栄養の専門家との交流ブース

栄養の専門家との交流ブースには、約15名の患者さんとご家族が参加しました。参加者からは特定の食品に関する質問が多く寄せられました。低FODMAP食への関心も見られ、正しい知識を求める声がありました。ご家族の中でも食事を作る役割の方、特に患者の母親や祖母の参加が多く、「自分の食事で体調を悪くさせてしまうのではないか」という懸念から、食材や調理法などをかなり気にされている様子がうかがえました。

中東氏は「病気だからといって食べられないものはない」「食事で病気になるわけではない、症状が変化するレベル」「自分の体調に合わせて摂取することが大切、気にしすぎない」といった前向きなアドバイスを伝えられていました。

 

●患者当事者との交流ブース

患者スタッフ含め8名が参加しました。発症から20年以上のベテラン患者さんもいらっしゃり、ある程度病気との向き合い方が分かっている方が多かった印象です。お話の内容はトイレ・外出のこと、症状の波について、仕事の内容や調整、食事で気を付けていることや内視鏡検査の話題など多岐に及びました。ご家族からの質問に対しては、患者さんが診断当時の親との関わり、家族にしてもらって嬉しかったことなどを語る場面もありました。失敗談や深刻な内容もありましたが、皆さん終始笑顔で交流されており、当事者同士で共感し合えることの喜びが伝わってきました。

 

【京都大学医学部附属病院消化器内科 胆膵グループ】

主に、消化器領域の難病(潰瘍性大腸炎、原発性硬化性胆管炎)や難治癌(膵癌、胆道癌)などの患者さんの診療を行いつつ、並行して、病態解明、診断薬・治療薬開発研究も行う。さらに、2022年、研究内容を実際の現場に臨床応用するためのベンチャー企業、Link therapeutics株式会社を京都大学内に設立。難病根治の早期実現を目指して、皆で研究に取り組んでいる。

京都大学医学部附属病院消化器内科ホームページ

https://gastro.kuhp.kyoto-u.ac.jp/

潰瘍性大腸炎治療薬開発プロジェクト ホームページ

https://www.nanbyou97-cure.net/

Link therapeutics株式会社ホームページ

https://sites.google.com/link-therapeutics.com/home 

 

 

まとめ

本イベントは、IBDに対する最前線の研究と、実生活に即した「食」の知恵を結びつける貴重な機会となりました。患者ご自身が病気を理解し、希望をもって生活の質を高めていくためのヒントを得られる場となったのではないでしょうか。

イベントの詳細についてはグッテコラムをご覧ください。

グッテコラム:https://learn.goodtecommunity.com/special_list/114/

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