アンケートに答えてくださったみなさま、ありがとうございました。
トイレで大変な思いをしている方たちと同じように、日々の生活がトイレ問題で振り回されるということは、この病気になる前は一度として考えたこともありませんでした。
トイレに間に合わないということが、こんなにもみじめだとは思わなかった。
そんなある夜の通勤帰り。
とぼとぼと歩いていた時、下を向いて歩いている自分に気がつきました。暗くて足元が不安だったのではありません。街灯があって、安全な道でした。
地面を見るしかない人生。そう気がついたときのことは、今でも忘れられません。
快活に歩いていた自分はどこへいってしまった?
このまま、一生、地面をみつめながら生きていくのか?
思わず立ち止まってしまいました。夜空の下でのこころの中での葛藤は、しばらく続きました。
そのときです。何十年も前に聞いた言葉が、突然、心の中によみがえりました。
「頭を高くかかげて生きよ」
そうだ、上を向いて生きないといけないんだ。
下を向いて歩くのが習慣になっていたのか、夜空を見上げようとしたら、肩が頭が重かった。背中がずっと前のめりになっていたことから筋力が衰えていた。
夜空には、月が輝いていました。
帰宅途中の月を見るのは大好きでした。形が毎晩、変わるを見るのが楽しかったから。
思い出してみると、最後に月を見たのはいつだったのか、思い出せませんでした。
それほどに長いこと下を向いて歩いていた自分に愕然としました。
次の日、地面を再び見つめて歩いている自分を発見。
このままではいけない。
そのときから、「頭を上げよ」という言葉をおなじないのように唱えて歩くことを意識するようになりました。
時間はかかったのですが、おなじないは効果を発し、トイレのことで自信を失っていた自分を少しずつ取り戻していきました。