質問&おしゃべり

先日は、アンケートへのご協力ありがとうございました。
潰瘍性大腸炎/クローン病の軽症、中症で最も多く使われているのは、サラゾピリン®、ペンタサ®、アサコール®、リアルダ®です。

その主要成分は、メサラミン。5-ASA(ファイブ アサ)とか、5-ASA製剤とも呼ばれています。

世界中で使われているのですが、どんなふうに作用して炎症を抑えているのかは、開発されて90年もたつのに不明という不思議な薬です。

 

上記の薬は、結石を作ることがわかっています。

小さな結石は、尿と一緒に排泄されてしまいます。ですが、大きくなると激痛や血尿を引き起こすことがあります。

問題は、メサラミンでできた結石は、レントゲン、超音波検査、CTスキャン、MRIには影が映らないため確認できず、結石があることに気がつけないことです。

このため、適切な治療が受けられない危険性がでてきます。

 

◆ 参考文献:

アメリカ、カナダ、ヨーロッパでは、メサラミンが原因で結石ができることを防ぐため、薬の説明書には、水分をたくさん摂るようにと明記されています。

一方、日本では、薬の説明書にはその明記がありません。

厚労省 医療用医薬品 : リアルダ

▼ アメリカ:薬の説明書に結石と水分補給の説明

2009年:アメリカ政府機関の食品医薬局から

サラゾピリン®

使用上の注意:
全般:アズルフィジン錠は、重度のアレルギーまたは気管支喘息のある患者には慎重に投与してください。

結晶尿および結石の形成を防ぐため、十分な水分摂取を維持してください。

 

2021年:アメリカ政府機関の食品医薬局から

ペンタサ®アサコール®リアルダ®

薬の説明書:項目5.7番: 腎結石症

  • メサラミンの使用に伴い、100%メサラミン含有結石を含む腎結石症の症例が報告されています。
  • メサラミン含有結石は放射線透過性であり、標準的なX線検査やコンピュータ断層撮影(CT)では検出できません。
  • ペンタサ/アサコール®/リアルダ®投与中は、十分な水分補給を行ってください。

▼ 2022年 フランス アカデミー国立学術団体 論文

「薬剤性腎結石症および結晶尿:スルファサラジン誘導体の特殊なケース」

結果と考察:

10人の患者(女性8人、男性2人)が、自然に排出された結石を生成した。 

  • 投与は、9例で1日当たりメサラミン4gを摂取していた。1例は1日当たりわずか2gだった。
    ◎説明

    メサラミンの量は、サラゾピリン1錠は3.2g、ペンタサ1錠は4g、アサコール1錠は3.6g、リアルダは:4.8g
    注腸剤のメサラジンの量は1g。

    論文に薬名は掲載されていませんでした。4gは恐らく平均値かと憶測。
  • 結石発症までの投薬期間は1ヶ月から15年までで、平均4年。
  • 結石分析の結果、分析された全ての結石から純粋なメサラジンが検出された。
  • ある患者の尿中に発見された棒状の結晶(結石は入手不可だった)は、フーリエ変換赤外分光法によってメサラジンと特定された。

◎ Aメサラミン100%の結石/Bメサラミンの結晶

 

写真は、フランスアカデミーから借用

 

▼フランス アカデミーの結論:

  • 薬剤含有結石は稀であり、原因はほとんどの場合、薬剤特有の特性、すなわち高用量、尿中排泄量の増加、薬剤またはその代謝物の溶解度の低さに起因します。
  • メサラジンに関しては、尿結晶化の発生が過小評価されている可能性があります。
  • 結石形成には、メサラジンの腸管吸収性の高さ、肝臓における薬剤のアセチル化の低さ、結石のない患者と比較して尿量が少ないことなど、いくつかの要因が関与している可能性があり、これらはすべてさらなる調査が必要です。

▼ メサラジンの量と結石との関係

1日当たりのメサラジンの量は、多い順に、リアルダ®、ペンタサ®、アサコール®、サラゾピリン®、注腸薬です。

薬の種類と結石の起きやすさについての報告はありません。

メサラジンの量が少なくても起きることもあり、個人差が大きいと思われます。

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