こんにちは。今日は、るうと@クローン病さんから頂いた質問にお答え致します。
<質問>
食物繊維の質問です。 食物繊維は、摂った方が良いとTVで観ました。 狭窄が無ければ、おからを摂っても良いですか? ココアが好きなのですが飲んでも構いませんか? どういった食物繊維を摂って行けば良いのでしょうか? 食物繊維入りのドリンクやサプリメントも有効ですか?
<回答>
るると@クローン病さん、ご質問頂きありがとうございます。食物繊維の摂取については迷われる患者さんも多いと思います。
結論からお伝えしますと、食物繊維は、活動期では摂取量を制限することが勧められ、寛解期では、狭窄のリスクがない限り、徐々に摂取量を増やしていくことが一般的に推奨されています。では具体的に一つ一つの質問にお答えしますね。
活動期
活動期は、食物繊維の摂取を控えることが勧められます。食物繊維は消化に時間がかかり、腸管の活動を活発にすることから、消化管に負担をかける食物繊維の摂取を控えましょう。
摂取量によりますが、おからには食物繊維が豊富に含まれることから、避けた方が良いかもしれません。ココアは、一般的に食品と比べると食物繊維の含有量もそこまで多くはないため、他の食事でどの程度食物繊維を摂取するかによるかと思います。ご参考までに、米国では活動期の食物繊維摂取量の目安は、1日当たり8-10グラム程度とされています。
寛解期
寛解期では、クローン病に対しても狭窄のリスクがない限り、徐々に食物繊維の摂取量を増やすことが勧められます。
これまでの食物繊維に対する食事指導では、潰瘍性大腸炎では制限がなく、クローン病では寛解期も低食物繊維食が勧められることが多かったかと思います。
しかし、最近の研究では、食物繊維の摂取量が少ないとクローン病の再燃率が高くなることが報告されていることから、米国ではクローン病患者に対しても狭窄リスクがない限り、寛解期の食物繊維摂取は推奨されることが多いです。
この観点からは、おからやココアの摂取は問題ない可能性が高いです。ただし以下に記載したように摂取の仕方にご注意ください。
食物繊維摂取のポイント
寛解期に食物繊維を摂取する際は、摂取量を徐々に増やしていきましょう。急激に食物繊維の摂取量を増やすと腹痛やガス、下痢などの消化器症状に繋がることがあるので注意が必要です。一品ずつ、消化器症状を確かめながら徐々に摂取量を増やす方法がオススメです。
また、食物繊維の摂取の際に、水に溶ける水溶性の食物繊維が豊富に含まれる食品を積極的に摂取しましょう。水溶性食物繊維は、腸内細菌により分解され、腸管の免疫・炎症の制御に関わることが確認されています。
水溶性食物繊維は、大豆・枝豆などの豆類や、りんご、みかんやオレンジなどの柑橘類、プルーン、いちご、さらにはブロッコリー、キャベツ、にんじん、グリンピース、玉ねぎなどの野菜に多く含まれます。
食物繊維サプリメントは使うべき?
食物繊維サプリメントのIBDに対する研究は盛んに行われてきました。しかし、これまでの研究では、効果に対して否定的な結果を示すものも多く、欧州のガイドラインではIBD患者に対して、サプリメントとしての食物繊維の摂取は推奨されていません。
サプリメントと比べ、野菜や果物そのものには、食物繊維に加え、ビタミン・ミネラルなども含まれるため、通常の食事から食物繊維を摂取することが望ましいです。
食物繊維が含まれたドリンクについても、もし野菜や果物そのものを食べることが難しい場合に活用される方が良いかもしれませんね。
ちょっと長くなってしまいましたがいかがでしょうか?もし不明点があったり、追加でご質問等あればお気軽にコメント頂けましたらと思います。