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過去の投稿に対するやり取りで埋もれてましたが、他のユーザーさんにもご参考になるかと思うので投稿の形でシェアさせていただきますー。

潰瘍性大腸炎患者mkaoriさんからの質問に対する栄養学博士杉原さんの回答です。


<質問>

潰瘍性大腸炎寛解期の食事について書かれていましたが、ここでいう「寛解期」とは内視鏡的寛解なのでしょうか?

と言うのも、今私は臨床的寛解なのか、低脂質で柔らかい食べ物なら固形便、普通の脂質+少し繊維質を食べると軟便と便の回数が少し増えるという状態を繰り返しています。内視鏡は年に一回なので、当分の間内視鏡的寛解に至っているかは確認出来ません。普通の食事で便の状態が悪くなるようであれば、薬が効いてないのではないか?と本で読み、不安になってます。次に内視鏡をやる時まで用心深い食事を続けた方がいいのか?それとも普通の食事をあえて摂取して、顕著に便の状態が悪化するかどうか実験?してみた方がいいのでしょうか?後者は怖くて試してないのですが。


<回答>

mkaoriさん


ご質問ありがとうございます。

臨床的寛解と内視鏡的寛解の時の食事に関するご質問ですね。


潰瘍性大腸炎に関しては、食事療法・栄養療法の明確な効果は報告されておらず、内視鏡的寛解まで至っていたら、通常の食事に戻しても問題ないと思います。

内視鏡的寛解に至っていても下痢や腹痛が起きる時は、食事が原因となっている場合もありますので、一度食事を見直してみる必要があります。(https://gcarecommunity.com/article/168


問題は臨床的寛解の時にどうすればいいのかということですが、これは非常に難しい質問で、ガイドライン等でも寛解の定義が明確に示されていないため、食事制限していたものをどの段階で普通に戻して大丈夫なのかはわかりません。

特にIBDでは個人差が大きく、食事に対する影響が出やすい人と出にくい人がいます。つまり、同じ臨床的寛解でも食事が影響する人もいれば何を食べても問題ないという人もいるということです。


ただ、前述した通り、潰瘍性大腸炎に関しては食事の影響はあまり大きくないと考えられており、臨床的寛解まで至っていれば、食事の移行期間ということで徐々に元の食事に戻していっても大丈夫だと思います。


注意しておきたい点としては、急に食事を普通に戻すのではなく、徐々に戻していくことです。

例えば、1日に脂質を30g摂取していたのを急に60g摂取するようになると身体がうまく対応できないかもしれないので、35gを数日間試して問題なければ40gに増やしていくなど、段階的に食事を戻していったほうが良いと思います。

実際は摂取量を数グラム単位で調整するのは難しいので、食べる量や使う食品を変えて調整すればいいと思います。

もし段階的に食事を変えている時に体調が悪くなれば、一つ前の段階の食事に戻って様子を見てみましょう。


健康な人であっても、急に食べるものを変えれば便の性状などに影響することもありますので、あまり神経質になりすぎず食事を楽しむことも大事だと思います。


また何か食事に関して不安なことなどありましたら、いつでもご質問ください。

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