専門家へのお悩み相談

みなさまこんにちは。今回は患者さんからレジスタントスターチに関するご質問をいただきましたのでお答えしたいと思います。そもそも「レジスタントスターチ」という言葉自体を聞いたことがなかったという方もいるかと思いますので基本的なことも含めて紹介します。

 

<質問内容>

レジスタントスターチやレジスタントプロテインも水溶性だけど消化されにくいものだったりするのでしょうか?

 

<回答>

ご質問いただきありがとうございます。ここでは研究も比較的多く行われて注目度も高いレジスタントスターチにフォーカスして紹介致します。

 

レジスタントスターチとは?

レジスタントスターチとは、小腸であまり吸収されず大腸に移行して発酵される食物繊維のような機能を有した炭水化物のことです。レジスタント(resistant)とは、英語で抵抗するという意味で、「消化に抵抗がある」という意味合いで使われています。水溶性食物繊維のように水を吸着する機能を有するので、その点ではご質問のように「水溶性だけど消化しにくい」ものです。レジスタントスターチはその性質によって複数のタイプ/機能に分類されています。

 

レジスタントスターチが含まれる食品は?

レジスタントスターチが含まれる食品として代表的なものは以下となります。

 

・熟していない青いバナナ

・豆類(特に白豆とヒラ豆/レンズ豆にはレジスタントスターチが多く含まれている)

・全粒製品(大麦、玄米など)

・一度調理して冷やした白米、じゃがいもなど

 

また、調理や保存方法でレジスタントスターチの性質は変わることがわかっています。例えば調理に熱を用いることでレジスタントスターチの性質が失われることがあります。

 

世間一般的にレジスタントスターチが話題となっている理由

レジスタントスターチは炭水化物ですが小腸で消化されないため、糖分に分解されにくいことから血糖値の上昇につながりにくいと考えられています。また大腸で発酵され体に良い腸内細菌を増やすことに加え、水溶性食物繊維と同様に炎症のコントロールに重要な働きをする短鎖脂肪酸の生成にも関わることが確認されています。その他空腹感の軽減や便秘の予防、コレステロールの低下など様々な効果が注目を集めています。

 

レジスタントスターチはIBDに有益?

レジスタントスターチは食物繊維と近い機能を有することからIBDに対しても主に動物を用いた研究が積極的に行われてきました。例えばこれまでの人工的に腸に炎症を起こしたマウスを用いた研究において炎症やサイトカインの現象が示唆されています。

一方でIBD患者に対する研究は行われておらず、まだIBDに対して有益かどうかはわかっていません。

 

レジスタントスターチ摂取時の留意点

消化されにくい食品となりますので、もしご興味ある方は活動期ではなく寛解期にお試しいただければと思います。また食物繊維と同様に少量から少しずつ消化器症状を確認しながら摂取を行われることをお勧めいたします。


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