専門家へのお悩み相談

現在就労ピアコーチという先輩患者さんのZoom面談による就労に関するお悩み相談をトライアルで行っています。

 

今回は、あやさん(クローン病・女性20代)から就労に関する相談があり、先輩患者であるabqさん(クローン病・40代女性)、ランさん(潰瘍性大腸炎・30代女性)が参加してZoom面談が行われましたので、その面談内容の一部を抜粋してコミュニティ内で紹介させていただきます。

 

あやさんの状況:20代女性。医療機関で事務として勤務。現在転職を検討中。また同僚などに病気に配慮してもらっていることをよく思われていないと感じて落ち込むこともある。

 

 

ーー転職時の病気の開示/非開示について

 

あやさん:

クローン病が発症した時もあまり自覚症状がなく、大腸検査で炎症がひどいのが分かったという形でした。現在は生物学的製剤を服用しながらですがトイレの回数も1日1回、多いときで朝晩という程度なので日々の仕事にあまり影響はありません。

 

職場は医療機関なのですが上司と同僚に病気を伝えていて、トイレや通院に関して配慮してもらっています。ただの今後の状況によっては現在2名いる事務が1名のみになってしまい、通院に影響が出る可能性があることから転職を検討しています。

 

転職先としては医療機関を探しています。コロナの影響もあるので今はベストなタイミングではないかもしれませんが。医療機関関連以外の資格を持っていますが、以前勤務していた時に残業や持ち帰りの仕事が多く、夜11時ごろまで職場にいることもあったので、クローン病のことを考えると、体力的に厳しく、医療事務などのデスクワークを探せればと思っています。

 

転職活動を行う上で、病気の開示/非開示に迷っています。実際に難病就労サポーターの方と相談した時は症状が落ち着いているから病気を開示しないで就職しても良いのではと言われました。確かに今の症状だと病気を開示せずに転職し働き続けることもできそうですが、例えば3年後くらいに症状が悪化する可能性もゼロではないので、そのような場合に備えて環境を整えたいという気持ちもあります。

 

abqさん:

高校でクローン病を発症し転職は5回経験しました。現在は週3日間テレワークにて情報システムのサポート業務を行っています。

 

5回の転職の中で、契約社員・正社員の転職の際は病気を開示して行いました。履歴書の備考欄に病気を書くと面接の時に向こうから質問されることが多かったです。もし質問されない場合は自分で言うようにしていました。

 

これまでの経験の中で病気を持っているからという理由のみで落とされたことはありません。会社は求職者の病気のみならず、経歴や能力をしっかりみていると思います。

 

病気が理由で不採用になる企業であれば、仮に採用された後にものすごく苦労することになると思うので、採用されなかったとしてもあまり気にする必要はないと思います。

 

また、現在症状が落ち着いて仕事にほとんど支障がないということなので、その点では、病気を就職時に開示せず、ある程度周囲の方と関係を築けたタイミングで病気を伝えても良いかもしれません。

 

ただ、いつ症状が悪化するかわからないという不安が大きいのであれば開示することをお勧めします。

 

ランさん:

潰瘍性大腸炎を発症して7年になります。海外で勤務していた時に発症したので当時働いていた会社を辞めて帰国しました。2年くらいは事務関係のアルバイトをしていましたが、バイオ製剤で落ち着いたことから、現在は医療機関で司書として働いています。

 

私も転職時は最初から履歴書に病気のことを書いています。特に「通院が2ヶ月に1度あるのでご配慮いただきたい」と書いています。私もabqさんと同じで、病気を理由として落とされたことはありません。

 

また面接では自分で病気のことを言うようにしています。自分の体調が悪くなる可能性があるので、病気をきちんと伝えることが誠意ある対応と思っています。

 

同時に私自身が会社を面接するという意識も持っていて、開示した時に面接官がどのような反応をするのかを確認しますし、職場環境やトイレもしっかり確認するようにしています。就職後に働き続けることになるので働きやすい環境かを確認することはとても重要だと思います。

 

実際に内定が出た後にフルタイムに近い状況で働くのが怖くなって会社に相談したこともあります。働く前に同僚や所属長と話をする機会をもらい不安を取り除くことができました。

 

不安を取り除いて就職活動した方が結果的に長く働けると思います。転職活動では採用されることも大切ですが、入社後のことも大切だと思います。

 

 

ーー病気を同僚に理解してもらうには?

 

あやさん:

医療機関で他の部署に行った時に私が病気に関して配慮をもらっていることを不満に思っている同僚がいました。クローン病の場合どうしても元気な時と症状が悪化した時の違いが見た目でわからないので、理解してもらうことが難しいなと感じています。もちろん周りの全ての人に理解してもらうことが難しいのはわかるのですが、どうすれば良いでしょうか?

 

abqさん:

お話しを聞いて、ネット上で見かけた記事に書いてあったことを思い出しました。ずるいという言葉は、相手が悪いことをして利益を得ている場合に使うものだけど、感情が整理できず、「ずるい」という言葉を使ってしまう子供も大人も多いそうです。もしかしたら、同僚の方が不満に思い「ずるい」と発した言葉の裏にも「羨ましい」の気持ちが隠れているんじゃないかな、と思いました。


もしそうであれば、羨ましく思うのは、病気が悪いのではなく、同僚の方自身が解決すべき自分の課題だと思いますので、気になってしまうかとは思いますが、あまり気にしすぎない方が良いと思います。ネガティブな言葉は、すごくインパクトがあって、たった一人からの言葉であっても、すごく落ち込むでしょうし、気になって仕方ないと思います。


ただ、味方でいてくださる同僚の方も身近にいるようですし、どうか、そういった方々の存在を忘れずに、いつも通りにお仕事されたら良いのではと思います。私自身も、職場の人間関係でもやもやすることは度々あるので、すごく気になるし落ち込むこともありますが、自他の境界線を意識しながらなんとか対処しています。


ネガティブなコメントに対しては、自分と切り離して考えることが大切かもしれません。ネガティブな声は増幅して自分の心にも残るし傷つきますが、理解している方、味方がいることを考えると良いと思います。

 

ランさん:

基本ですが、迷惑をかけたらお詫びと、何かしてもらったらお礼をしっかり伝えることが大事かと思います。

 

私自身は職場であまり嫌な思いをしたことはありませんが、やはり配慮していただいたり、急な欠勤で周囲に迷惑をかけてしまうこともあるので、人間関係には気を遣っています。

 

以前勤務していた職場では、シフト制の仕事でした。遅番が入ると不規則な生活となり、体調にもよくないと言われていたため、遅番は避けさせてもらっていましたが、その結果ご負担をかけてしまった時は必ずお礼を言っていました。迷惑かけたら「すいません」と謝り、「ありがとう」という感謝は常に伝えるようにしています。

 

また、タイで働いていた時に感謝の気持ちを伝える際に物をあげたりもらったりすることが立派なコミュニケーションになっていたので、日本に帰ってからも続けています。

 

クリスマスやバレンタインなどのイベントで、お世話になっている方やそのご家族向けにちょっとしたお菓子と共にメッセージを添えたカードなどを渡して、感謝の気持ちを伝えることもあります。

 

以前お世話になった就労サポーターの方に「休んだ時など、本当に迷惑をかけた事実にだけ謝って、病気であることについて申し訳なく思う必要はない!」というアドバイスをいただいたことがあります。他の人に迷惑をかけていると思うと落ち込んでしまいますが、大切にしている言葉です。

 

 

面談は終始和やかな雰囲気で行われました。

 

その後就労の部屋でメッセージのやりとりもありました。

https://gcarecommunity.com/room?topic_id=59

 

来週末には、RDD適職という難病患者の就労に関するイベントがあり、2部ではIBD患者さんの交流会も開催されます。入場無料・入退室自由です。ご興味ある方はぜひ以下のご案内をご覧いただくとともに、参加のご登録よろしくお願いいたします!

 

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000055131.html

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