専門家へのお悩み相談

こんにちは、消化器専門医の今井です。本日はおしゃべり広場で頂いた質問について以下に回答をしたいと思います。


質問:薬を変更した後に息切れするようになりました。こういった時って、処方する薬を変えてもらったり、落ち着いたりするものでしょうか?


回答:一般的に、処方の変更時の息切れについては3パターンあるかと思います。


①薬の副作用によるものです。薬のアレルギー反応により、体の色々な部分に炎症が起きてしまうことがあります。その中で、薬剤性の肺炎や胸膜炎、さらには心膜炎など一部は息切れを伴う場合もあります。この場合は、薬を止めない限りは悪化していってしまいます。また、特別な場合として、ゼルヤンツという潰瘍性大腸炎に使われる薬は肺静脈血栓症と呼ばれる、いわゆる飛行機の乗った時のエコノミークラス症候群と同じような病気になる場合があると言われています。これも放っておくと危険な病気です。


②次に、特に免疫抑制を伴う薬を使用している場合の日和見感染症(ひよりみかんせんしょう)と呼ばれる普段は感染しないような弱い病原菌(ウイルス)に感染してしまうケースです。この場合、早めの治療を開始しないと重症化するリスクもあり、命に関わります。


③最後に、薬の変更によりIBDの病勢が悪化してしまうパターンです。例えば、食事が十分に摂れなかったり、発熱により脱水傾向になることで息切れを自覚することもあります。また、下血に伴う貧血でも同様に息切れを自覚します。この場合はやはり今の薬から追加や変更が検討される状況です。


このようにいずれのパターンでも、そのままにしておいてもあまり改善しない状況が想定されるので、早めに主治医の先生に相談する方がいいのではないかと思います。

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