こんにちは、ジーケアの宮崎です。
たくさんの食事・栄養に関するご質問ありがとうございます。
今回はアメリカと日本での食事指導や栄養に関する考え方の違いについてお答えさせて頂きます。
【Question】アメリカでの食事指導については、何を制限し何を制限していないか、患者さんが一番多い国だそうですし研究が進んでいる部分を知りたいです。ただ日本人とアメリカ人との腸内細菌叢の違いが「OKとされる食べ物・食べ方」にどう関わってくるかについては気になります。
【Answer】食事指導に関して、日本とアメリカで差がある印象なのが、寛解期の食事指導です。
例えば、日本では、先生や栄養士さんによっては、寛解期も低残渣・低脂質を推奨されることもあります。
一方、アメリカでは、食事を厳しく制限することにより、体に必要なビタミン・ミネラルを十分に摂取できなくなることが懸念されることが多いです。
また、狭窄リスクが低い患者さんについて、食物繊維を徐々に増やしていくことが推奨されることが多く、脂質についても総量を低く抑えることよりも、抗炎症作用などが示唆されている脂質(オメガ3など)を選択することが勧められることがあります。
さらに、寛解期においても腹痛・下痢などの消化器症状が続く場合に、低フォドマップ食(https://gcarecommunity.com/article/168)が処方されることがあります。
低フォドマップ食については、過敏性腸症候群に対する効果については大規模な臨床試験も行われ少しずつ科学的根拠が蓄積されてきていますが、炎症性腸疾患に対する研究は、現在進行中なものも多く、解明されていないことも多いですが、アメリカの病院では、すでに処方されはじめています。
腸内細菌の違いとそれが「良い食事・悪い食事」にどう影響するかについては、まだわかっていないことが多いと思います。
また、腸内細菌以外にも人種や生活習慣、病気の状態など、様々な要因によって食事の影響は異なることが考えられます。
なので、アメリカではIBDの食事療法はこれが一番というような考え方ではなく、IBDの食事は個々の状態によって調整する必要があるという考え方になります。
現在も食事の研究は進んでいますので、また面白い研究があればGコミュニティで紹介させて頂きます。
今後も是非Gコミュニティをよろしくお願いいたします!