ジーコミュニティの皆さま、明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします!
新年最初のご質問をCocoaさんから頂きました。
「ステロイドの使用期間」に関するご質問です。
このご質問は以前のジーコミュニティの記事に関するものです。
そこではステロイドの注腸製剤であるレクタブルRの解説もありますのでぜひご覧下さい。
https://gcarecommunity.com/article/116
さてご質問への回答ですが、結論からお伝えすると「全ての患者さんに共通する長期の使用期間」というものはありません。
それは基本的には長期間使用すると一部の副作用の危険性が高くなってきますが、副作用が起きるまでの期間は個人差があるためです。
例えば使用開始から1ヶ月で副作用が出た患者さんがいれば、使用開始から3ヶ月後に副作用が出る患者さんもいらっしゃいます。
しかし、一般的にIBDの治療においてはプレドニンRなどのステロイドを使用することが多いですが、基本的には「3ヶ月程度」で使用を終了することが望ましいです。
この「3ヶ月程度」という期間は、推奨されている「ステロイドの漸減(ぜんげん)(少しずつ量を減らすことです)」を行なった場合の使用終了までの期間と一致します。
ステロイドの使用例でご紹介しましょう。
例えば、潰瘍性大腸炎のAさんは病状が悪化し、外来通院で一般的に使用されるステロイドとしてプレドニンRの内服薬を30mgで治療を開始しました。
その後幸いにステロイドの効果が認められ、症状が改善してきました。
主治医の先生と相談して、その後はステロイドの内服量を少しずつ減らして(これが漸減(ぜんげん)です)いきました。
最終的にはステロイド薬開始の3ヶ月後に、ステロイド使用が終了になりました。
そしてその後はアサコールRのみで病状が安定しました。
このAさんの例では、ステロイドは「寛解導入療法」として使用され、アサコールRは「寛解維持療法」として使用されました。
ステロイドは「寛解導入療法」としての効果は証明されていますが、「寛解維持療法」としての効果がないことも証明されていますので正しい使用法ですね。
そのためステロイドを数ヶ月間というような長期間使用することは現在の治療指針では推奨されていません。
今回はステロイド薬の使用期間をご紹介しました。
ゼひ皆さんもご自身の治療内容を改めて確認され、不明な点などは主治医の先生や薬剤師の方とよくご相談して頂ければと思います。