専門家へのお悩み相談

先日ある患者さんとお話している時に、「アメリカにはIBD患者さんはどのくらいいるの?」 という質問を頂きました。以前からよく聞かれる質問ですのでGコミュニティでも紹介できればと思います。

 

このどのくらいの患者がいるのか?という質問に対しても様々な研究やデータがあり、どれが最も確からしいのかという判断は非常に難しいです。

 

そこで今回は、信頼性が高いと考えられるアメリカCDC(疾病予防管理センター)という公的機関がいくつかの研究をベースにまとめた情報をシェアさせて頂きます。

 

CDCによると、2015年時点で、クローン病・潰瘍性大腸炎含むIBDに罹患している患者は、アメリカ全人口の1.3%・約300万人と推計とのことです。この患者数は、1999年の全人口の0.9%・約200万人から大きく増加しています。

 

患者数、人口に占める患者数の割合ともに日本と比べ非常に大きいですよね。

 

なおアメリカでも、発症年齢は20-30代が多いとのことですが、現在IBDを抱えている患者では45歳以上の割合が多くなっているとのことです。

 

私がアメリカに住んでいた時の感覚でも、日本と比べ、IBDはより一般的に認識されていた印象でした。

 

IBD患者支援団体による活動やチャリティイベントが積極的に行われていましたし、アメリカでは医薬品のテレビコマーシャルが許可されているのですが、コマーシャルでもIBD治療薬を良く見かけました。

 


最後に余談ですが、日本では医療受給証発行時に比較的正確な患者数が把握されていますが、他国では内視鏡が普及しておらず診断されていない患者も多く、受給証のような患者を把握できる機会がないことが一般的です。

 

そのような中、患者数を把握するための様々な研究が行われていますが、正確な患者数の把握が難しいのが現状です。特に中国を中心としたアジアなどでは、患者数、有病率に関する研究・データが少なく、わかっていないことが多いのが現状です。


 

日本のみならず世界中で非常に多くの患者さんが患われているIBD、さらなる病態の解明や、より効果的な治療の開発が一刻も早く進んで欲しいですね。

 

我々としてもどのような形で患者さんの生活や研究の発展に貢献できるのか、引き続き模索していきたいと思います。

 


参考:https://www.cdc.gov/ibd/data-statistics.htm

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