米国登録栄養士の宮﨑です。先週のグッテレシピの特集は油を上手に抑える/控える工夫やレシピの紹介でした。
https://learn.goodtecommunity.com/special_list/4/
そこで今回は、患者さんから多く質問をいただく、「脂質はどのくらい制限すべきか?」という質問についてお答えしたいと思います。
――脂質はどのくらい制限すべきか?
脂質は以前日本において、1日あたり40gまでなどといった1日の摂取量を食事指導で指示されることがありました。しかし、脂質の総量を制限することでIBDの寛解維持や寛解導入につながるというエビデンスは確立されておらず、海外などで脂質の総量を制限が推奨されることはありません。
このような背景を踏まえて、日本においても脂質の摂取総量の制限を指示されることは減ってきているかと思います。
脂質において重要なポイントは、寛解期と活動期で脂質に対する考え方が異なることと、脂質の種類が重要であることです。
また他の栄養素と同様に必要な栄養素の量は患者さん個々人の状況よっても異なります。
少し詳しく紹介していきたいと思います。
――活動期の脂質
脂質は消化管の動きを活発にすることなどから、一般的には活動期は脂質の摂取を控えるよう勧められます。具体的にどの程度制限すべきかという明確な基準はありませんが、病院では一般的に20-30g/日程度で食事が出されることが多いです。
ただし活動期が長期化し体重減少などが見られる場合は、過度な脂質の制限をやめてカロリーをしっかり摂取していくという選択肢もあり得ます。主治医の先生と相談しながら自分の状況に合った食事を模索しましょう。
――寛解期の脂質
以前は寛解期も活動期同様に脂質を制限することもありましたが、現在は脂質の過度な制限は行われなくなってきています。
寛解期には野菜や適度な脂質も含めた栄養バランスの良い食事が必要とされています。
特に体重が減少している、なかなか増えない方については脂質によってしっかりエネルギーを摂取することも大切になります。
――脂質の種類
また脂質にも様々な種類があり、健康に良い脂質を摂ることがIBDにおいても良いと考えられるようになっています。例えば魚やエゴマ油・アマニ油などに含まれるオメガ3は炎症を抑える効果が研究で注目されています。脂質にどのような種類があり、どの食材にどの油が含まれるのかについては以前投稿した以下の記事をご紹介ください。
https://gcarecommunity.com/article/86
食事に注意を払うことも大切ですが、過度な制限はストレスにもなります。ご自身の体と主治医の先生や管理栄養士と相談しながら自分に合った食生活を目指していただければと思います。
もし何かご不明点等あればお気軽にコメントください。