専門家の記事

米国登録栄養士の宮﨑です。先日は交流会の方開催させていただき様々な方にご参加いただきありがとうございました。その中で脂質の制限や食事の個人差に関する質問がありました。多くの方も気になる点かと思いますので共有させていただきます。


ーー活動期/寛解期別の脂質との付き合い方の違い


クローン病や潰瘍性大腸炎の食事に関しては、活動期には制限が推奨されることが多いですが、症状が安定している寛解期には、脂質などの制限を続けるように進めることは減っており、野菜や脂質も含めて栄養バランスの良い食事が薦められることが多いです。(クローン病で狭窄がある場合については寛解期も繊維質のものの制限が推奨されることが一般的です。)


炎症がある活動期(再燃期)は消化管の負担を軽減するために低脂質、低残渣・食物繊維の食事が推奨されることが多いです。


一方、炎症が落ち着いた寛解期は、食物繊維や魚に含まれる健康的な脂質などを含めたバランスの良い食事が推奨されています。栄養バランスを整えることは、ビタミン・ミネラルの摂取などにもつながり、体調全般を整えることにもつながります。


以上のように常に寛解期か活動期かによって摂取する脂質について考えることが大切です。


また、このように食事指導が変わってきた背景としては、IBDの食事に関して少しずつ科学的に解明されてガイドライン等でコンセンサスを得られた内容が増えてきたことに加え、生物学的製剤やJAK阻害剤の普及により以前よりも炎症をコントロールできるようになってきていることがあります。


ーー食事は個人差があるので、自分に合うかを考えることが大切


同時に患者さん個々人で症状に合わせた食事は異なることが多いです。


脂質を抑えることで症状が安定し続ける人もいれば、低FODMAP食のような特定の食品を取り除くことでコントロールされている方もいます。


IBDの食事では、寛解期と活動期の食事のポイントや科学的に良いと言われている食事を意識しつつも、ご自身の体調に合わせて、自分に合う食事を模索していく必要があります。


多方、他の患者さんの工夫は参考になることが多いと思います。以下のグッテレシピでは患者さんが実際に作られている様々なレシピが管理栄養士が解説した形で投稿されていますのでぜひ参考にしていただければと思います。


https://goodtecommunity.com/


ちょっとした悩みや不安含めて何かあればお気軽にコミュニティ内でご質問ください。


ーー関連記事

Gコミュニティの記事

脂質はどこまで制限すべきか?

魚に含まれる脂質・オメガ3を摂取する時のポイント

グッテコラム

潰瘍性大腸炎・クローン病(IBD)と脂質(飽和脂肪酸、オメガ3など)

過敏性腸症候群(IBS)患者さんの下痢や腹痛、便秘などの消化器症状を引き起こしやすい食品(NG)は?