今回は、潰瘍性大腸炎やクローン病の患者さんやご家族から質問されることの多い「脂質制限」についてです。
「脂質=お腹に負担をかけそう」と、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、脂質に関する考え方は近年変わってきており、海外のガイドラインなどでも脂質の総量を制限することは推奨されておらず、むしろ脂質の種類(質)に注目が集まっています。
IBDにおいて炎症が起こる活動期には、消化管への負担を軽減するために低脂質が推奨されることもありますが、症状が落ち着いている寛解期については、過度に脂質を制限するのではなく、野菜なども含めたバランスの良い食事が推奨されます。
さらに、青魚に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった「n-3系脂肪酸」は、炎症を抑える働きがあることも報告されています。
食事から摂取する際のおすすめは、サバ、イワシ、サンマなどの青魚です。調理が手間と感じる方は、サバ缶やレトルトの魚料理を活用すると手軽です。
一方で、サプリメントによるオメガ3の摂取については、IBDに対する効果は現時点で十分に検証されておらず推奨はされていません。食事からの摂取することを心がけましょう。
どのような魚にどれくらいのEPAが含まれているか、また、おすすめのレシピなどについては以下のリンクをご覧ください。
https://learn.goodtecommunity.com/special_list/116/
脂質については、わからないことや不安な点も多いかと思いますので、ご不明な点があればお気軽に「専門家への質問」からご相談ください。