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消化器専門医の今井です。先日開催したオンラインセミナーの事前質問にて、「レミケードやヒュミラを使っていると次第に耐性がついて効かなくなってしまうと聞きますが、実際に統計的なエビデンスはあるのでしょうか?」という質問がありましたので投稿の形で回答させていただきます。

結論から言うと、レミケードやヒュミラなどの生物学的製剤でも、JAK阻害剤でも、一度は効果があったものの、治療を続ける中で効きにくくなることはあります。医学的には「二次無効」や「効果減弱」と呼ばれます。

潰瘍性大腸炎の研究をまとめた報告では、1年間に効果が低下する割合は、レミケード(インフリキシマブ)で約10%、ヒュミラ(アダリムマブ)で約13%とされています。一方で、薬の量を増やしたり投与間隔を調整したりすることで、再び効果が得られた方もレミケードで約72%、ヒュミラで約52%いました。(Inflamm Bowel Dis. 2023;29:1633-1647)


ただし、これは「長く使っていると体が薬に慣れて、必ず効かなくなる」という意味ではありません。
レミケードなどの生物学的製剤では、薬に対する「抗体(抗薬物抗体)」ができることで、薬が体内から早くなくなり、効きにくくなる場合があります。実際、抗インフリキシマブ抗体ができた方では、治療効果が低下するリスクが高くなることが報告されています。
(Am J Gastroenterol. 2013;108:40-47)

また、レミケードの製品情報にも、抗体ができることでインフリキシマブが体内からなくなるスピードが速くなることが記載されています。

一方、低分子化合物であるJAK阻害剤でも途中で効果が無効になることもあります。しかし、その仕組みは、抗薬物抗体が作られるわけではなく、単純に現在の薬では炎症を抑え込めない炎症が起きてしまうという状態です。 (Expert Rev Clin Pharmacol. 2020)

したがって、生物学的製剤でもJAK阻害剤でも途中で効果が弱くなることはありますが、長く使うほど耐性がついて、いずれ必ず効かなくなるという理解ではありません。

現在の薬がしっかり効いているのであれば、将来効かなくなるかもしれないという理由だけで薬を変更する必要はないと思います。もし症状や炎症が悪化した場合には、現在どのような状態や病態で薬が効かなくなっているのかを主治医の先生と確認し合い、増量や投与間隔の調整、薬剤の変更などの選択肢から方針を一緒に決定して頂ければと思います。