専門家の記事

みなさまこんにちは。今回は、”睡眠の質”とクローン病の病状に関する研究がInflammatory Bowel Diseaseという学術誌で先月発表されていたのでその内容を紹介させて頂きます。

 

IBD患者さんの中には睡眠不足にストレスを感じている方も多いのではと思います。夜にトイレに行かなければならなかったり、腹痛を感じたりと。では具体的にどの程度のIBD患者さんが睡眠で悩んでいるのか、また睡眠の質はIBDの症状に影響を与えているのでしょうか?

 

この研究では、クローン病患者さんで睡眠の質が病気の指標とどのように関連しているのかを検証するために、アメリカの92名のクローン病患者と84名のコントロール群(IBD患者以外)の睡眠の質や臨床症状などを確認し1年間フォローアップを行いました。

 

その結果、77%のクローン病患者さんが睡眠障害を有していることがわかりました。またクローン病患者さんの睡眠障害の原因としては、寒さを感じる、30分以内に入眠できない、夜に目が覚める、トイレの使用、夜に痛みを感じる、寝るために睡眠薬を使うなどが特徴として見られました。

 

さらに、睡眠の質がクローン病の臨床症状の悪化につながっていることに加え、睡眠の質が特に低かった患者では、より多くの入院や手術につながっていたことが示唆されました。

 

この試験のみでは、睡眠の質とIBD症状に関してまだわからないことが多いですが、 睡眠の質が症状悪化に影響を与えるもしくは繋がる可能性があるため、睡眠で悩みを抱えている方はぜひ主治医の先生に相談して頂けましたらと思います。

 

また、今後どのように睡眠の質を上げていくのかという分野においても研究が期待されますね。

 

Gコミュニティ内でも睡眠に悩まれている方が多いかと思いますので、もし「このような工夫をしたら睡眠が改善した」といった経験等があればシェア頂けましたら幸いですー。

 

GコミュニティではこれからもIBDに関する様々な研究を紹介していきたいと思います。

 

参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31820780/