今回はアメリカの登録栄養士向けの学会誌「Journal of Academy of Nutrition and Dietetics」の2021年2月号の中で「Covid-19パンデミックにおけるIBD患者の食事管理」に関する論文が寄稿されていたのでその一部を紹介いたします。
以前の投稿で杉原さんも引用していましたが、IBD患者さんの食事に関する推奨についてはThe International Organization for the Study of Inflammatory Bowel Disease (IOIBD) に記載されています。
https://gcarecommunity.com/article/444
その一方で、とくにアメリカではcovid-19によって生鮮食品など必要な食品へのアクセスが通常時と比べて難しくなっていたこともあり(現在は改善されているかもしれませんが)、そのような状況でもIOIBDに記載されているような健康的な食事をどう維持していくのかという点が論文の中で整理されていました。
アメリカと日本では状況が異なりますが、いくつかみなさんの食生活で生かせそうな工夫が記載されていたので抜粋してお伝えします。
寛解期における野菜やフルーツの摂取
・生鮮野菜やフルーツを得られない場合は添加物が含まれていない冷凍や缶の野菜やフルーツを活用
・事前に食事の計画を立て、使うことができる食材を用いて新しいレシピに挑戦
健康的なたんぱく質の摂取
・魚や鶏肉などは事前に食事の計画を立てて買い出し。大きい塊を買った場合は細かく分けて冷凍
・植物性のたんぱく質が含まれる豆類、ナッツ、豆腐などを食事に加える
・新しいレシピに挑戦
寛解期では、狭窄がない場合は、消化器症状が出ないことを確認しながら徐々に野菜やフルーツの摂取を増やすこと、また健康的なたんぱく質を摂取することが推奨されます。
まず日本においても仕事の関係などで生鮮食品の定期的な購入が難しい方は添加物の少ない冷凍の野菜やフルーツは有用と思います。また大きい塊を買って小さい塊ごとに冷凍すると食事の事前準備も手間が省けそうです。
またここでは食事を整えていくためには事前の準備が必要であることが強調されています。実際多くの患者さんがしっかり準備をして必要な食材を揃えている印象ですが、自分に合った健康的な食事を維持するために食事の計画を立て、必要な食材を準備することは欠かせないと思います。
さらにこの論文では、新しいレシピに挑戦することも推奨されています。摂取する食品のバラエティを増やし栄養バランスの良い食事を構築していく上で、新しいレシピに取り組んでいくことは重要です。
以上、Covid-19におけるIBD患者さんの食事に関する論文の一部を紹介しました。
食事では自分に合った健康的な食事を日常生活の中にどう落とし込んで維持するかが重要になります。ぜひ上記などを参考にしながら、自分に合ったやり方で自分に最適な食生活を模索していただけましたらと思います。