専門家の記事

来週8/8(日) 10時より「IBDストレス解消交流会&リラクゼーションヨガ」というZoomイベントを大阪IBDさんと開催予定です。多くの方のご参加をお待ちしています!(詳細は以下の記事をご参照ください。)

 

https://gcarecommunity.com/article/699

 

さて、IBDとストレスの関係は様々な関係で示唆されていますが、そのストレスへの対応としてIBDのみならずあらゆる疾患で注目を集めているのが「認知行動療法」と呼ばれる心理学的アプローチです。

 

認知行動療法とは?


認知行動療法とは、私たちが持っている「感情」と「行動」は、その状況をどう捉えるかという「認知」によって影響を受けるため、この「認知」を変えることで必要以上に落ち込んだり不安になったりするという感情を軽くするといったアプローチとなります。


臨床心理士による継続的な対面カウンセリングを元に行われることが一般的ですが、近年特に海外では不眠症や精神疾患に対してアプリによる認知行動療法の介入も多く行われています。

 

この認知行動療法のIBDに対する研究は盛んに行われています。

 

IBDに対する認知行動療法の効果を検証した研究


これまで行われた認知行動療法のIBD患者さんに対する効果を検証した7つの試験をまとめて解析した研究では、IBD患者さんのQOLの指標が、コントロール群と比べて優位に改善したことが確認されました。


一方でIBDの炎症の指標や心配、ストレスに関して認知行動療法群とコントロール群で有意な差は認められませんでした。

 

QOLの有意な改善が認められた一方で心配やストレスに関して改善が認められなかったことについては解釈が難しいですが、著者はIBD患者さんの多くが増悪時に不安やストレスの指標が悪化することから、病気そのものの影響を受けている可能性を指摘していました。


食事療法でもそうですが、個別の介入の効果のみならず病気そのものの増悪が介入には影響を与えるため、IBD領域の生活面での介入の効果の検証は非常に難しいものがあります。だからこそチャレンジし甲斐もありますが!

 


いずれにせよ、今回紹介した認知行動療法のみならず、ヨガなども含めて、心理面のアプローチの研究が期待されるところですね。

 

参考:https://onlinelibrary-wiley-com.proxy.lib.umich.edu/doi/pdfdirect/10.1111/ijn.12699