質問&おしゃべり
皆さんこんにちは。
Rare Disease Day (世界希少・難治性疾患の日、以下RDD)のイベントレポートです。
RDDは、より良い診断や治療による希少・難治性疾患の患者さんの生活の質の向上を目指して、スウェーデンで2008年から始まった活動です。
日本でもRDDの趣旨に賛同し、2010年から毎年2月最終日に希少・難治性疾患の認知度向上のきっかけとなるイベントを各地で開催しています。
就労支援ネットワークONEと株式会社ジーケアが主催する「RDD就労crossing」(https://25nsv.hp.peraichi.com/)のイベントは、難病患者・希少疾患患者・長期慢性疾患患者、障害がある人の治療と仕事の両立、暮らしと仕事、働き生き甲斐を共に考え、共に創ることを目指しており、2/19と2/26に開催されました。
今回は、2/26の 14時~16時30分に開催されたイベント「難病患者、希少疾患患者の就労の今、そして未来を考える」内の様子を2回に分けて投稿いたします。
【参加人数】
視聴参加者:49名
【内容】
はじめに…中金さんより、本日の趣旨説明。
今回は、難治・希少疾患患者の就労に関する情報のシェアが目的。指定難病患者が95万人、軽症等でそれに含まれない患者さんや指定難病ではない疾患の患者さんもいるので、もっと多い。どのぐらいの患者さんが働いているかは、2016年で就業率は54.2%。しかし、疾患によってかなり違う。また、障害者手帳を取得しているかどうか、フルタイム正社員、パートタイム、福祉的就労など、就労の形は様々である。
★企業における難病のある方の雇用実績や、疾患の開示時期などの開示時期についての調査結果を見ながら説明なさっていました。
1部:「東京障害者職業センターの支援について」
お話:高齢・障害・求職者雇用支援機構東京支部 東京障害者職業センター次長 佐々木様
障害者職業センターについて
参考:東京障害者職業センターHP https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/tokyo/
障害者職業センターの支援としては、「就職活動支援、職場定着支援、職場復帰支援」の3本立て。ハローワーク等の他の支援機関と協力しているが、仕事の紹介はしていないので、それはハローワークへ。
職業センター利用の流れ等の説明。
①職業相談・職業評価…長く働くには、自分の課題を理解し対処法を見つけるとともに、自分に合った仕事を探すことが大事。
現状や希望を聞き、相談の中で一緒に考える。
②職業準備支援…一人ひとりの課題改善をめざし、オーダーメイドでカリキュラムを作成してくれる。内容は、就活講座やストレス対処講座などの講座、テーマについて参加者と意見交換を行うグループワーク、個別相談、作業など。自分の中で、力を発揮しやすい職場環境を把握したり、ミスやストレスへの対処法を把握する。
また、企業に配慮してほしい事項をまとめたナビゲーションブックを作成する。それを活用すると、企業鵜川に支援してほしいことを伝えやすい。
③ジョブコーチ支援…ジョブコーチが職場へ訪問し、利用者と企業両方へアドバイスをする。不安な時いつでも相談できる人がいるのは良い。フォローアップもしてくれるが、病気を伝えて企業にも了解を取った場合に利用できる。
障害者職業センターは、障害者手帳がなくても利用できる。利用料金は無料。交通費や昼食代は自己負担。
お話後に、就労支援ネットワークONEの中金さんより、職業センターとの支援連携事例を共有。
★感想…説明の中では、一人ひとりの就労に関する課題を聞き取り、きめ細やかな対応をしてくれそうな印象でした。障害者手帳がない難病患者でも利用できるということなので、一度相談してみてもいいかもな、という気がしました!
2部:「難病患者、希少疾患患者の就労の今、そして未来」 インタビュー・対談(動画)
吉川祐一氏(一般社団法人日本難病・疾病団体協議会(以下、JPA)代表理事)×中金竜次氏(就労支援ネットワークONE)
参考:JPAのHP https://nanbyo.jp/
JPAとは、難病関係の当事者団体の全国組織であり、国との交渉を担う。厚生労働省の様々な審議会の委員をしている。
JPAが就労に関してどのような事を行っているのか。
1. 難病対策委員会…難病相談支援センターの強化について、意見書にまとめられた。
2. 障害者政策委員会…障害者差別解消法の改正で、合理的配慮が努力義務から義務になる。そのためにJPAが意見を述べてきた。少しずつ環境が整えられてきている。
3. 障害者部会…障害者総合支援法の見直し。
4. 障害者雇用分科会…法定雇用率に難病患者をカウントするのかという課題を踏まえ、建設的な議論をしている。
5. JPAの新しい試みとして、就労プロジェクトを立ち上げた。JPAの就労に関する活動方針を外部の人に提案してもらう。外部の人の視点、問題意識が加わることで何かができるのではないか。一般企業の方、研究者、支援者などにプロジェクトをお願いした。
今後、未来について:一人ひとりの多様性をどのように制度に乗せていけるのか。結局一人ひとりの当事者に向き合って、どうしたら最適な配慮になるのか、その方の可能性や能力を引き出せるのか、そのためのノウハウの蓄積が必要。モデルづくり、事例の共有が必要なのでは。
★感想…JPA代表理事の吉川さんは、クローン病の患者さんでもあります。「当事者が声を挙げないと届かない」と、JPAが就労に関しても社会的に様々な働きかけをしていることが分かりました。
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長くなりましたので、今回はここまで^^ 後半の様子は次回投稿いたします~。
なお、3/5(土)も、下記のRDDイベントが開催されます。
ご興味のある方は、ぜひご参加いただければ幸いです。
「RDD適職その人らしい人生、しごと」
日時:3月5日(土)13:00~15:00
場所:オンライン(Zoom)
予告編:
https://www.youtube.com/watch?v=GvaqXyZX5Ug
事前視聴申込(前日までにお申込み下さい):https://docs.google.com/forms/d/1V1JWaVi3t__oQgnh4bhHDIbxnsPUdsxRh7jBhYWwSxo/edit
プログラム構成:
【第1部】患者の親からみた子どもの人生、しごと
エーラス・ダンロス症候群(指定難病168)、潰瘍性大腸炎(指定難病97)の親からみた、難病とともに生きる子どもの人生、しごとについて、お話を伺います。
【第2部】「その人らしく生きていくことを助けるもの」(仮題)
臨床心理士の先生による、心理学の理論(精神分析やアタッチメント理論、メンタライゼーションなどの考え方)に基づいた、家庭、職場等における、率直なコミュニケーションのあり方に関するご講演と質疑応答を予定しております。事後配信は行いません。
演者:愛知県医療療育総合センター 中央病院 ⼼理臨床室 河邉眞千⼦ 先⽣
対象者:難病患者当事者、ご家族、支援者