質問&おしゃべり

皆さんこんにちは。

いかがお過ごしでしょうか~。


さて、5月19日の世界IBDデーに合わせて、京都大学消化器内科と共催でオンラインイベントを開催しました!

今回はその前半部分のご報告をいたします。


今回のイベントでは、137名もの方に事前お申込みをいただきました!!

ご参加くださった皆さん、ありがとうございました~。


イベント前半では、京都大学消化器内科 助教・外来副医長 塩川雅広 先生に「IBDの完治を目指して~潰瘍性大腸炎 根治薬開発の今~」という講演をしていただきました。


後半は、京都大学消化器内科の先生方3名とUC患者さん3名による「IBD治療の未来を語ろう」というパネルディスカッションでした。


イベント紹介サイトはこちら↓

https://goodtenews.goodtecommunity.com/report-7/206/



【内容】

●前半 京都大学消化器内科 助教・外来副医長 塩川雅広医師講演「IBDの完治を目指して~潰瘍性大腸炎 根治薬開発の今~」


潰瘍性大腸炎(UC)についてのご説明と、先生のご研究についてご説明くださいました。


UCに関する現状での問題点として、UCに特異的な診断法や根本的な治療方法がないということでしたが、

先生たちのグループの研究では、UCの発症に関係する抗体である抗インテグリンαvβ6自己抗体を発見なさったそうです。

自己抗体とは誤って自分自身を攻撃してしまう抗体のことで、UC患者さんの92%がこの抗インテグリンαvβ6自己抗体を有するそうです。

ちなみに、他の疾患の患者さんではほとんど持っていないそうです!


そこから、この抗インテグリンαvβ6自己抗体がUC発症に関わっているのではないかという仮説を立てて、

診断法確立や病態解明、治療法開発を目指しているそうです。



現在は、UC確定診断の確立や病勢評価(治療薬が効いたかどうかの評価も)に役立つ、抗インテグリンαvβ6自己抗体の検査キットの開発を進めているとのお話でした。


厚労省の研究班でこのキットを使って本当に病勢評価ができるかどうか、検証をしているところだそうです。

来年には薬事申請をして承認、2025年には保険適用となって全国の病院で測定が可能になるのではないかと計画しているとのことでした。


お聞きしていて、大腸内視鏡以外の方法でおなかの状態を評価できるのはとてもいいなぁと思いました!

皆さんご存じの通り、内視鏡検査は大変ですので…><


さて、治療法の開発としては2通りあり、1つ目は抗インテグリンαvβ6自己抗体を除去する治療法の開発を目指しているそうです。

これを除去することで元通りの正常な大腸の粘膜になると考えていらっしゃるそうです。

2026年の治験開始を目指しているとのことでした。


また、治療法開発のもう1つは、抗インテグリンαvβ6自己抗体を生産するB細胞のみを除去する治療法だそうです。

こちらは、生産する細胞を除去するのですね。


現在のUCの治療法では、炎症や免疫を全体的に抑える治療が主のため、ウイルスや細菌などの感染に弱くなってしまうというのが難点です。

しかし、抗インテグリンαvβ6自己抗体を生産するB細胞のみを除去する治療法では、

それだけを除去するので感染に弱くなるという副作用はなく、完全に除去してしまっても問題はないため、高い治療効果が考えられるそうです。


また、この研究の世界的な位置づけとしては、UCの原因を発見し原因を取り除く治療法と考えているため、

開発に成功すれば世界初の治療法となるそうです。

想定通りに治療効果が出た場合には、従来の治療法に比較して効果が高く、副作用も少ない治療法となると考えているそうです。


これ、本当にできたらすごいなぁ、嬉しいなぁと思いました。


ちなみに、根治と完治についても以下のようにご説明がありました。


先生の研究による治療法では、UCの原因に対しての根本的な治療になると考えているため、再燃はしにくくなるのではないかとのことでした。

しかし、100%再燃しないわけではなく、再燃する患者さんも0にはならないと思っているそうです。

「完治」のためには、なぜこの抗体を産出するB細胞ができてしまうのかを明らかにして、

自己抗体を作られないようにしないといけないそうですが、

こちらの研究も行っているけれどまだ時間がかかりそうとのことでした。


先生は治療法の開発を加速させるため、京都大学内にベンチャー企業を作って研究開発を進めていらっしゃいます。

少数例での臨床試験までを行う企業であり、投資家から資金を募っているそうです。


最後に、クローン病との関連についてもお話しくださいました。

UCからCDになる患者さんも少なからずいらっしゃり、治療薬も似ているため、

おそらく病態も近いものと考えているとのことでした。

そのため、UC同様にCDも病因の解明や根本治療の開発を目指し研究を行っていくそうです。


その後、先生には参加者の方からの質問や事前質問にもお答えいただきました。


先生のお話はできるだけ難しい医学的用語を使わず、私たちIBD当事者にもわかりやすく話してくださっているのが伝わってきました。

私自身1人のUC当事者として、こういった研究や新しい治療法のお話を聞くと、将来や現在の治療に対しても前向きな気持ちになれます。

先生のご研究を応援したいですね~。


では、長くなりましたので、今回はここまで。

後半のパネルディスカッションの様子は次回レポートします!


お読みくださりありがとうございました!


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