こんにちは。本日は、あやさんからの質問にお答えします。
<質問>
便がゆるくなった時、いつ食べた何が原因なのか見極め方とかありますか?
食事記録をつけているので見返しますがさっぱりわかりません(T_T)
家で脂質を控えて消化にいいものを食べているときよりも外食したあとの方が毎回便の調子がいいです。外食だと明らかに脂質は摂りすぎだし、調子がいいのはたまたまなのでしょうか?
また、以前はココアやコーヒー、コーラなどが好きでよく飲んでました。シュウ酸やカフェイン、炭酸飲料はやはりIBDには良くないですか?少しなら飲んでも大丈夫でしょうか?
<回答>
あやさん、ご質問いただきありがとうございます。消化器症状の原因となる食品の特定は難しいですよね。
食事記録から消化器症状の原因となる食品を探す際のポイント
まず、記録を見返す期間として、直前の食事のみならず2日前までの食事を確認することをお勧めします。食物を摂取してから消化・吸収されて、小腸・大腸で消化器症状が出るまでには少なくとも4時間以上かかり、実際に食物が便となり体外に出るには12時間から48時間かかると言われています。一方、食物により胃が刺激されることで大腸の動きが活発になり、食べた直後に便意を催すこともあります。よって、直前の食事から2日前までの食事を広く確認することが重要です。
また、記録を確認する際は、①普段食べている食品以外の食品を食べたかどうか、②普段より多めに摂取した食品があったかどうかを確認しましょう。それらの食品が消化器症状を引き起こしている可能性があります。
一方で、食事記録の確認を繰り返しても原因となる食品が特定できない場合、食事以外の要素が消化器症状に影響を与えている可能性もあります。この場合は、ストレスなど他の要素を確認・検討してみることが勧められます。
脂質と消化器症状・増悪との関係
脂質とIBDの消化器症状や増悪の関係については、まだ科学的に解明されていないことが多く、実際、患者さん個々人で反応が異なることが多いです。特に寛解期の消化器症状に関しては、極端に脂質を摂取しない限りにおいて、たまに脂質を摂取しても消化器症状が現れない方が多い印象です。
あやさんの場合、外食の方がむしろ便の調子が良いとのことですので、もしかしたら外食による精神的な開放感などが消化器症状に対してポジティブな影響を与えているかもしれません。
カフェイン・炭酸飲料・シュウ酸などは避けるべき?
カフェインについては、これまでの研究でIBDの病状を直接的に悪化させるという報告はありませんが、消化器症状が出る患者は多いと言われています。カフェイン摂取後に症状が出ないようでしたら摂取しても問題ないと思いますが、念の為、多量の摂取は控えましょう。
また炭酸飲料については、砂糖や人工甘味料が多く含まれているものが多く、IBDの病態に影響を与える可能性があります。特に人工甘味料については、炎症性腸疾患の国際的機関であるIOIBDも摂取の控えることを推奨していますので、過度な摂取は控えましょう。
なおシュウ酸が含まれる食べ物や飲み物がIBDの病状を直接的に悪化させるという報告および推奨は現時点ではほとんどないかと思います。
消化器症状の原因となる食品については、気になることも多いと思いますので、また何か疑問が出てきたらいつでもお気軽にご質問・コメント頂けましたらと思います。