専門家へのお悩み相談

今回は、食事に関する匿名質問をいただきましたので回答致します。2019年11月にクローン病を発症されたばかりの男性の方からのご質問です。(ご参考までに、トップページの投稿ボタンから今回のような匿名質問も可能ですのでコミュニティ内での質問が敷居が高いという方はお気軽にご利用ください。)

  

<質問内容>

はじめまして。昨年11月に診断を受けました。CD大腸小腸型です。当初は便の回数が多いものの下痢ではなかったのですが、徐々に下痢をするようになりました。10月にはいってからは回数は3〜6回の下痢がずっと続いています。また腹痛も徐々に出現し増強しています。同時に食事を改めて低残渣、低脂肪にしているのですが一向に下痢症状は変わりません。先日はじめてエレンタールを処方してもらい、一日一袋を目安に飲んでいます。食事を減らすことで腹痛は少し軽減しました。CRPは1点いくつです。このような状況ではどれぐらい食事を摂るものなのでしょうか。今は活動期なのだと思いますが、入院や絶食をせずとも寛解期に入ることもあるのでしょうか?活動期の期間は人や症状によって幅が大きいと考えてよいのでしょうか?

 


<回答>

クローン病の活動期の食事に関する質問ですね。

 

まずクローン病の活動期の食事療法は、寛解導入を目的としてエレンタールも含めて細かく管理することが多いので、主治医と相談しながら進めることが重要となります。ぜひ現在の状況「ペンタサ、エレンタール1袋と低残渣・低脂質食で症状が改善しないこと」を主治医に伝えた上で、食事に関しても指示を仰ぐことをお勧めします。


活動期にはどのくらい食事を摂るべきなのか?

患者さん個々人の状況により異なります。CRPも一つの指標となりますが、内視鏡所見や消化器症状、様々な検査の結果を含めた総合的な判断になります。ここでは一般的な考え方を紹介させていただきますね。

 

一般的に食事・栄養療法の検討は、体重や病状(炎症の度合い)などから必要エネルギー量(カロリー)を算出することから始まります。クローン病の活動期では、炎症が起きているため、必要エネルギー量が上がることが一般的です。

 

そしてこの必要エネルギー量を満たす方法を、食事・エレンタールなどの経腸栄養剤・静脈栄養剤などから、食欲や消化器症状、血液検査などを考慮して検討していきます。

 

クローン病に対しては、エレンタールのみでの栄養摂取や静脈から栄養を摂取することも治療の選択肢となり得ますので、その場合は食事をしばらく摂らないこともあります。

 

またエレンタールと食事を組み合わせることも多いです。食事の内容は消化管の負担を軽減することを目的として低脂質・低残渣食を処方されることも一般的です。ビタミン・ミネラルが不足しているときはサプリメントが処方されることもあります。


入院や絶食をせずとも寛解期に入ることはあるのか?

炎症の度合いや栄養状態によるとは思いますが、薬物治療でコントロールできた場合、入院や絶食をせずに寛解期に入ることもあります。現在ペンタサとエレンタールのみ処方されているとのことですので他の薬剤も選択肢となります。こちらもぜひ主治医とご相談いただけましたらと思います。

 

活動期の期間は人によって差があるか?

活動期の期間には個人差があります。また同じ患者さんでも時期によって活動期の期間が異なることもあります。IBDでは病状や治療内容も個々人によって差が出ることも多いので、他の患者さんの情報は参考にしつつも、主治医の先生と信頼関係を築き自分なりの活動期との付き合い方を模索していくことが大切になります。

 

 ぜひコミュニティ内で情報を得ながら病気との付き合い方の参考にして頂けましたらと思います。不明点あればお気軽にご質問頂けましたらと思います。

コメント一覧