「ステロイド使用中に過食症状が出て、それからずっと体重が増加傾向で、痩せる病気の代表みたいなUC患者としてはあるまじきな体重にまでなってしまいました。
どこかの記事で肥満も再燃のリスクになると読んだ覚えがあり、気になっています。
炎症部分の修復に必要な栄養を摂取しながら体重を落とすにはどうしたら良いのでしょうか?」という質問に対する回答です。
ステロイドによる食欲増進によって体重が増加することがありますが、その他にも身体に水分が溜まりやすくなることによって体重が増える場合があります。
担当医の先生に相談をし、体重を減少させる必要があるかどうかをまず確認してみるのがよいと思います。
ご自身の体重が本当に高いのかどうか判断する指標として、体格指数(BMI)があります。BMIは「体重(kg)÷(身長(m)× 身長(m))」で計算することができ、18.5-25kg/m2が正常、25kg/m2以上は過体重になります。
以前にIBD NEWSで紹介させて頂いたIBDと肥満の関係の研究(https://gcarecommunity.com/article/132)では、BMIが30kg/m2以上の患者さんで疾患活動性や不安、うつなどの指標が高いこと示されていました。
日本人でBMIが30kg/m2以上というとかなり高い数値になります。
肥満は万病のもとと言われる通り、IBD以外に様々な病気に関わってきますので、もしBMIが30kg/m2以上ある場合は、減量されることをお勧めします。
もし減量をされるのでしたら、まずは自分の食べたものを一週間記録してみて、どこが改善しやすいかを見つけてみましょう。
特に、間食や飲み物を摂取し過ぎている場合は、その量を減らす、あるいは低カロリーなものに変えるだけでも十分効果が見られると思います。
粘膜治癒に関してですが、これまでの研究では、全てのエネルギーを経腸栄養剤から摂取するExclusive enteral nutrition(EEN)が小児クローン病患者の粘膜治癒に有効であるとの報告があります。
しかし、潰瘍性大腸炎や大人のクローン病を対象にした研究はなく、今の段階でどのような食事療法・栄養療法が良いのかよくわかっていないのが現状です。
一般的に腸管の粘膜治癒にはたんぱく質やビタミン・ミネラルなどの栄養素が必要になってきます。
バランスの良い食事が摂取できていれば、腸管の修復に必要なこれらの栄養素を摂取することができると思いますので、主食・主菜・副菜などバランスの良い食事を心がけるようにしましょう。