質問&おしゃべり
皆さんこんにちは。
三寒四温の今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。
さて、Rare Disease Day (世界希少・難治性疾患の日、以下RDD)のイベントレポートです。
2/26の 14時~16時30分に開催されたイベント「難病患者、希少疾患患者の就労の今、そして未来を考える」の後半の様子を投稿いたします。
前半(第1部、2部)の様子はこちらをご確認ください。↓
https://gcarecommunity.com/article/894
では始めます!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第3部 事例の共有とパネルディスカッション
① 「難病患者の社会参加白書から見えてきた難病者の今」 重光喬之氏(NPO法人両育わーるど 理事長/難病患者の社会参加を考える会 発起人)
重光さんは脳脊髄液減少症の当事者の方です。強い痛みが常にあるそうです。
NPO法人両育わーるどホームページ https://ryoiku.org/
【お話の趣旨】
痛みで頭が働かないこともある。寝ていることも多く、打ち合わせに合わせて起きて働く。
同じ病気の方でも、週4勤務など多様な働き方をしている。
体調に波があって、継続して働けない場合もあるので、1週間のうちで合計10時間働くなどの対応をしている方もいる。
働くことで、存在の痛みを軽減できないか。
難病者の社会参加研究会を立ち上げ、白書をまとめた。
★重光さんの発表部分は、以下の社会参加白書からの引用が多かったです。
https://ryoiku.org/wp-content/uploads/2021/09/2021_white_paper.pdf
・難病患者を、白書中の図表2-3-1(P38)のように分類
・難病者で就職を果たせていない層の会社へ求めることは「疾患への配慮」が最重要だが、就業中の難病者では、疾患への配慮の割合は下がり、業務内容や勤務地の比率が上がる(P55)
・手帳がある難病者の方が手帳がない難病者よりも就業率は低い(P58)
・自治体への調査では、難病者を雇用していない自治体では不安の声が多いが、難病者を雇用している自治体では、不安の声が小さくなる。
などです。
ちなみに、この白書はとてもボリュームがあるのですが、図表もたくさん載っていて分かりやすいので、ぜひご興味のあるところだけでもご覧いただければと思います。私は読んでいて、「あるある」と頷きました~!
②「IBD患者さんの仕事の工夫~働きやすい環境づくりとキャリア選択~」
宮﨑拓郎氏(株式会社ジーケア 米国管理栄養士(RDN)・公衆衛生学修士・中小企業診断士)
我らがGコミュの宮崎さんも発表しました!
【お話の趣旨】
IBDについてやGコミュニティの紹介したあと、体験談やイベントの開催といったGコミュの就労への取り組みを紹介。
実際にGコミュユーザーさんの就労への向き合い方として、働きやすい環境づくりと大切にしている姿勢・価値観が見えてきた。
その姿勢・価値観とは…
・長期的な視座を持つ、付加価値を付けるように努力したり、制約の中でできることを考えて働く。ポリシーを持っている。
・環境作り。日ごろからコミュニケーション、元気な時に信頼貯金をためる。マニュアルを作ったり、周りの人に気を遣いながら、環境作りに工夫をしている。
最後に事例として、2名の患者さんのキャリア選択の紹介。
③全体パネルディスカッション 「難病患者、希少疾患患者の就労の今、そして未来」
両育わーるどの重光氏、ジーケアの宮﨑氏、就労支援ネットワークONE 中金氏、3者による難病患者・希少疾患患者・長期慢性疾患患者のこれからの就労を考えるディスカッション
【パネルディスカッションの内容】
宮﨑さん:短時間で働くのは難病患者にフィットすると思うが、スキルがまだない人には難しい面もあるのでは。
重光さん:短時間の就労では生活が成り立たないという問題はある。生活と収入を切り離して考える必要がある。そこに必要なのは社会の保証なのでは。ベーシックインカムのような社会的な仕組み。自分のできる範囲で仕事をして、生活に足りない分のお金を社会的な仕組みでもらえるといい。
狭間の人たちを定義するモデルを作る。病名ではなく、症状に視点を合わせてそれぞれ働けるようになればいい。
中金さん:雇用保険の対象にならないショートタイム勤務について海外の例も紹介。
重光さん:患者さんの事例として、すごい人かとてもしんどい人の声しか集まりにくい。中間層の声を集めるための工夫は何かあるか?
宮﨑さん:確かにその傾向はある。アンケートがいいかもしれない。心理的安心感があるのかも。
重光さん:自分の体験はそんなに…と思っている人たちの声が届けば、安心する患者さんがいるのでは。
重光さん:症状も病態も全然違うが、困っていることはIBDと同じだと思った。事例を集めてビッグデータを解析したら面白いのでは。
中金さん:IBDの取り組みが、他の疾患の方の役に立つこともきっとある。
重光さん:就労時間の柔軟性が大事なのではと思う。週の中で体調の良いときに働ける仕組み。
宮﨑さん:多分その通り。でも、企業はその点についてまだ気づいていないのでは。そこをまず企業に気づいてもらうことも大切だと思う。また、患者側も「働くとはこのようにしなければ」と思い込んで、柔軟な働き方に気づけていない場合もある。知らない、ということが弊害になっているのかも。
中金さん・重光さん:難病患者に働きやすいのは、社会のいろんな人に働きやすい環境。
重光さん:頑張りすぎず、あきらめ過ぎず、これからもぼちぼちやっていこう。
宮崎さん:患者側だけではなく、社会へも情報発信に力を入れていく。
中金:社会的にもいろんな取り組みが動き始めている。社会がアップデートしていく時期なのかもしれない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
イベント後半についてのレポートは以上です。
重光さんは難病当事者ということもあり、そのお話に私も引き込まれてお聞きしました。
痛みと付き合いながらも希望を捨てず、「ぼちぼち」やっていこうという姿勢に大変共感&刺激をいただきました。
白書もIBD患者さんに参考になる内容だと思います。
宮崎さんからのGコミュニティに関する報告でも、私たちIBD患者の働く姿が紹介され、なんだか胸が熱くなりました…。笑
また、重光さん、宮崎さん、中金さんのパネルディスカッションも興味深く、もっと色々聞きたいなと思いました!
今回のRDD就労crossing「難病患者、希少疾患患者の就労の今、そして未来を考える」は、第1部~3部まで、内容モリモリでとても学びの多いイベントでした。
ご参加くださった皆様、ありがとうございました。
また来年はどんなイベントになるのか楽しみですね^^ 来年のRDDもよろしくお願いいたします。
コメント一覧
コメントはありません。