質問&おしゃべり

皆さんこんにちは。

毎日寒いですね、いかがお過ごしでしょうか。


さて、2022年11月26日(土)14:00-16:00に行われた、田辺三菱製薬株式会社様とグッテ共催オンライン就労イベント、

「IBDとともに働き続けるコツ〜多様な働き方、生き方編〜」のご報告です。

今回は前半の3名の患者さんによるパネルディスカッションの後、後半はチャットで受け付けた質問に登壇者の方が答えるといった、

登壇者の方のご体験をじっくりお聞きする形式でした。


【参加人数】

一般参加者の方:41名(スタッフ、登壇者除く)


【内容】

まずは、ファシリテーターを務めていただいた就労支援ネットワークONEの中金様より、

自己紹介とスライドを使用して本日のテーマにまつわるご説明をしていただきました。


登壇者の方は、以下の3名でした。

●abqさん:クローン病・40代・女性

10代でクローン病発症。さまざまな職場を経て現在は週3日(うち2日はテレワーク)で情報システム業務に従事。


●Nikkiさん:潰瘍性大腸炎・50代・女性

20代で潰瘍性大腸炎発症。フリーランスのライター業を経て現在は財団法人に勤務。


●92さん:クローン病・30代・女性

看護師勤務、出産を経て現在は大学の一般事務(パート)として仕事と子育ての両立に奮闘中。


以下、登壇者の方のお話概要です。


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1. 登壇者3名の方が語る、それぞれのヒストリー


①Nikkiさん

20歳ぐらいの時から調子が悪くあちこち病院を転々としたが、

なかなか潰瘍性大腸炎という診断がつかず、23歳の時にやっとUCという診断が出た。


2~3か月の入院を1年に3回くらいはしていたので、登録制で1ヶ月とか1週間とか、そういう短期間でできるバイトをしていた。

長い期間のアルバイトに入るとちょっと体調が心配だったので、短期間で即日というものをなるべく選ぶようにした。


30歳で大腸全摘手術をし、その後かなり状態が安定したので、もうちょっと違う何かができるかなと考えていた。

ちょうどその頃イラストレーターの学校で友達になった子に、もともと文章を書くのが好きだったのでその話をチラリとしたら、

「実はフリーランスのライターを探している編集部があって、何も経験なくても教えてくれる人たちもいるからやってみない?」という誘いをいただいた。

そこから面白そうだなと思ってちょっとやってみようということでライターを始めた。

そしたらそこが意外と自分の性格に合っていたみたいで、とても楽しく、ちょっときつい部分もあったけど、長くフリーランスライターを続けられた。


その後46歳ぐらいの時に体調が悪化し手術。

体調面で今までのような働き方だとなかなか厳しいかなという考えと、あとは経済的な心配も出てきたので、体のことも考えて組織に転職。

現在は財団法人で広報として働いている。



②92さん


高校に入学した4月くらいから体調が悪くて、1ヶ月くらい熱が下がらず、入院していろいろ検査してクローン病の診断がついた。

高校のときは長期入院を繰り返していて、最初の方はほとんど高校の授業も参加できず、イベントなんてもってのほかみたいな感じで過ごした。

高校3年生くらいでようやくちょっと体調が落ち着いてきたかなという感じで、勉強や学校のイベントにも少し参加できた。


発症した当時、両親の反応が難病ということもあってすごくショックを受けていて、

「養ってやるから」みたいな言葉があったりとかしたので、「自立しないと」とか「家を出ないと」と思った。

手に職だな、資格を取らないとっていう思いプラス病気があるので、

病気に対する理解を得られそうなところってどこだろう?と考えたらやっぱり医療現場かなと。

その他の資格と悩みもしたけれど、看護学専攻を選んで進学した。


病気と仕事との両立に関しては、新卒で入った病院は、手術をして体調が良くなった後だったので最初うまく働けていたが、

結婚を考えるタイミングで薬や治療の調整をしたときに体調を崩してしまった。

復帰後、夜勤をすると体調を崩すようになり、夜勤免除を職場に申し出たが受け入れてもらえなかった。

その後は夜勤のない職場や座り仕事の保健師の職を選んで、転々としていった。


27歳の時に結婚して引っ越し、そのタイミングで妊娠出産もしたいなと思っていたので、

体調をちょっと回復させようというところと妊活目的で、

今は大学でパートの事務職として仕事をセーブするようなかたちで働いている。



③abqさん


高校2年の時、夏ぐらいに確定診断を受けたが、多分高校1年の秋か冬ぐらいからずっと腹痛が続いていた。

病院にかかるきっかけとなったのは、熱が1ヶ月ぐらい続いたとか、口にびっしり口内炎ができて生活がままならなくなったのをきっかけに

近くのクリニックを受診し、大学病院を紹介されてそこで確定診断をしてもらった。


就労に関しては、最初新卒で就職する前に1回手術を受け障害者手帳を持っていたので、障害者雇用で正社員として就職した。

その職場で4年半ぐらい働き、このまま仕事を続けていくことについて考えたときに、

その時体調がすごく良かったので、今なら何かいろいろ他のことにチャレンジできるんじゃないかと思った。

自己都合で退職をして、インドに行ってヨガの勉強をした。


インドから帰ってきて日本でヨガを教えつつ、派遣社員やアルバイトをしたりし始めるが、

手術をしてから大体10年くらい経ったあたりで再燃。

入退院を繰り返しているうちに、腸穿孔腹膜炎を起こして大きく入院することになり、

3つ目のアルバイト先は1年半休職した後に辞める。


その後も3回目の手術の症状が結構長引いたり、正社員として就職するも体調を崩しては辞め、ということを繰り返した。


現在はバイオベンチャー企業で契約社員として週3日働いている。

1日は会社に出社して、あとの2日はテレワーク。

情報システムという仕事なので基本的にはパソコンを使っての作業。

体力的な負担もすごく少なくトイレのタイミングも自分で決められるので、割と働きやすい仕事だと思う。


【視聴していたスタッフ・ランの感想】

登壇者の皆さん、三者三様ですが色々あって!!!!!

皆さんそれぞれの語りから、病気とともに悩みながらもお仕事をされてきたその軌跡がリアルに伝わってきました。

私も病気と付き合いながら働いてきた者の1人として、なんだか不思議な親近感を覚えました。



2. 職場への病気の伝え方。配慮について…開示・非開示についてどう思うか。職場にどのように伝えた?


92さん)さっきお話した通り、職場の理解を得たいなと思って看護師になったというのもあって、全て応募の段階から伝えている。

ハローワークなどを通して応募する場合も、担当の方から伝えていただく。

内容としては、病名とどういう病気か、どんな症状があるか、通院への配慮のお願いなど。

履歴書にも書くが「この業務内容なら体調も問題ない」といったポジティブな一文も必ず入れる。


NIkkiさん)フリーのライターの時は、仕事をする相手が案件ごとに変わるので、特段言うことはなかったが、

ライター仲間やカメラマンや編集さんなど、よく一緒に仕事をする人には伝えていた。

ライターの時は症状は比較的落ち着いていたので、特段配慮は求めていなかった。

今は障害者雇用での転職なので、配慮いただきたいという前提での転職だったこともあり、面接の時点から伝えている。

今、広報担当の部署にいるが、上の人から広報のメンバーの皆さんに症状については伝えていただき、同じ部署の人は知っている。


同じ部署の人に伝えるかどうかは、広報の面接をしてくれた人が聞いてくれた。

自分は業務をする関係上、突然何かがあってびっくりされるよりはあらかじめ伝えておきたかったので、同じグループの人には伝えてもらった。


abqさん)障害者手帳を持っているタイミングでの就職は病気を開示して、障害者雇用の枠で配慮がほしいということで就職をした。

それ以外の職場に関しては寛解期で通院がすごく少なくて、なおかつシフト制で働ける仕事の派遣社員だとかアルバイトのときは病気は開示していなかった。

ただアルバイトの方は長期間働く中で体調を崩してきてしまったので、そのタイミングで開示した。

それに関しては特に問題なく配慮を適宜いただけた。

今働いている職場の前に正社員で就職してるけれど、このときは手帳を持っていなかったが、一応病気は開示し、面接でも病気のことを話して就職した。

手帳を使った方が、配慮が欲しいことは伝えやすい。

障害者雇用じゃない方で入ったときに比べて、伝える内容も踏み込んだ内容を伝え受け入れてもらえたので、メリットでもある。



3. 病気を開示するメリット・デメリットは?


92さん)メリットは、体調が悪い事は言いやすい。周りも配慮してくれるので、環境として整いやすくなるかな。

デメリットは、病気なのをみんな知ってるからできない奴だと思われるんじゃないかみたいなところの不安や、

病気で負荷をかけられないと思われ周囲から仕事を任せてもらえないことがあった。


Nikkiさん)今の職場では本当に配慮をしていただいている。

が、一度責任のある仕事を任せてもらったときに、ちょっとこのままだと体調大丈夫かなって不安に思ったときがあり、

相談をしたら会社の方でそこを話し合ってくれ業務の内容を見直してもらうという配慮はいただいた。


開示をすることでのデメリットも少なからずあるかなとも今は思う。

IBDは相手からすると元気そうに見えてどこが悪いのか分からないし、これ任せて大丈夫かなと周囲に思われてしまう。

体調を気遣って言ってくれているので、あまり「私できるから大丈夫です」って強気に言っていいものなのかなとか、

お互いに変な感じで気を遣うみたいなところが若干のデメリットではあるのかなと思う。


abqさん)デメリットと言うほどデメリットではないのかもしれないけど、

自分もやっぱり就労を通して成長をしたいと思っているが、向こうが配慮を先回りしてくださったおかげでそのチャレンジの機会がそもそももらえないとか、

病気があるから仕方ないよねっていう理由で評価をされてしまうみたいなことは少なからずある気がする。

私も障害者雇用で入っていて就労時間とか限られてはいるが、ただチャレンジは自分のできる範囲でしたいとは思っているので、

そこに関しては上長と今後しっかり話をしつつ、お互いに無理がないようにいろいろチャレンジさせてもらえたらいいなとは考えている。


92さん)

最初の職場では夜勤に入れず、周囲からもサポートがなくて私も結構ストレスを感じて「じゃあ辞めます」みたいな感じになって退職したけれど、

人事にかけあったら職場の配置転換をしてくれたという他の人の話を聞いて、そういったサポートがあったと後で知った。

また、夜勤の免除をお願いしたとき、例えば期間をを設けて免除してもらうなどもう少し相手の立場を考えて伝えたら良かったと反省している。

IBDは外見からは分からないので、環境の調整でも日々の微調整においても、自分から体調を発信していくことが必要だと思う。

一回チャレンジの機会をいただいたときに、体調不良を理由に断ったら「病気を理由に断るんだ」と言われたことがあって、

それはやっぱり相手に自分の体調が悪いという状況がうまく伝わってなかったのだと思う。

伝え方の部分は難しいし工夫が必要で、コミュニケーションスキルが必要かなと思う。



【視聴していたスタッフ・ランの感想】

登壇者の皆さん、病気を開示しつつも、開示することでの働きにくさも感じていらっしゃるのですね。

病気と付き合いながら働き、さらに仕事での成長も考えると、92さんが仰るように相手の立場を考慮しつつ自分もうまく体調を伝えていくような、周囲とのコミュニケーションスキルが必要なのかなと思いました。



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長くなったので今回は以上です。

後半の様子は次回をお楽しみに~!

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