こんにちは。今回は以前ともさんやrunさんから頂いたビタミンDや亜鉛関連の質問にお答えします。
<質問>
コロナにビタミンDと亜鉛が効果あったという少しあやしい情報ですが😅...どこまで本当なのでしょうか?アメリカでは潰瘍性大腸炎の治療にもビタミンDや亜鉛はよく使われているのでしょうか?
<回答>
新型コロナウイルスに対するビタミンDサプリメントの効果
これは今グローバルで盛んに研究・議論されているトピックです。ビタミンDは新型コロナウイルス関連で最も多く研究が行われている栄養素かと思います。
ビタミンDは免疫において重要な機能を有していると考えられており、これまでの研究で血清ビタミンD値が低い人ではCovid-19の感染リスクが高まること(1)や、ビタミンD値が高い人では入院やICU(集中治療)、死亡率が低いこと(2)が示されてきました。
さらに患者数は30名と少ないですが、血清ビタミンD濃度の低い新型コロナウイルス患者を対象としたランダム化比較試験においてビタミンDサプリメント摂取の有用性が示唆されています(3)。
このような中、一週間ほど前にイギリスの国立医療技術評価機構N I C Eが新型コロウルスの予防のためのビタミンDサプリメントの摂取は十分なエビデンスがないとコメントしました(4)。
これに対し3日前にはアメリカ、イギリス、ヨーロッパの120名以上の医師や医学博士が署名し4000IUのビタミンD摂取を呼びかけました(5)。
今現在もビタミンDと新型コロナウイルスについては様々な研究が行われていますが、この議論に決着がつくにはもう少し時間がかかるかもしれません。
高濃度のビタミンDサプリメントを摂取することの要否はさておき、コロナ禍で太陽に当たる時間も短くなっていますので、ビタミンDが含まれる食品(後述)を積極的に摂取することが勧められます。
ちなみに血清ビタミンD検査ですが、日本では残念ながら原発性骨粗しょう症の薬剤選択時か、ビタミンD欠乏性くる病/骨軟化症のみ保険算定可能となっていてIBDには保険適応となっていません。
新型コロナウイルスと亜鉛の摂取について
こちらも研究は行われていますが、ビタミンD以上に科学的根拠が限られており、アメリカ国立衛生研究所は1日に必要な亜鉛の摂取量以上をとることは推奨できないと述べています。
ビタミンや亜鉛とIBD
ビタミンDとIBDについては以前こちらの記事にまとめましたのでぜひご参照頂ければと思います。
またビタミンDや亜鉛が含まれる食品は以下の表をご参照ください。


ビタミンDはそのほかにバターやチーズ、卵黄などにも含まれます。
こちらの記事には他のビタミンやミネラルが含まれる食品もまとまっていますのでご興味ある方はどうぞ。
現時点では、ビタミンD、亜鉛ともに、血液検査などで基準値を下回った場合はサプリメントの摂取が推奨されますが、特に不足が認められない場合にサプリメントの効果は示されていません。まずはビタミンDや亜鉛が含まれる食品を意識して摂取してみましょう。
その他不明点があればお気軽にコメントにてご質問ください。
参考文献
(1) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7726316/
(2) https://www.mdpi.com/2072-6643/12/11/3377
(3) https://pmj.bmj.com/content/early/2020/11/12/postgradmedj-2020-139065
(4) https://www.bbc.com/news/health-55333063
(5) https://vitamindforall.org/letter.html