今回は、別の投稿にいただいたアメリカにおけるビタミンDや亜鉛のサプリメントに関する質問にお答えいたします。
アメリカでのビタミン・ミネラル不足の確認と対応
これまでの記事でお伝えしたように、IBD患者ではビタミンDや亜鉛などのビタミン・ミネラルが不足することがよくあります。
ビタミンDとIBDの再燃の関係は?
不足に注意!IBDとビタミン・ミネラル
アメリカでも日本と同様に、IBD患者さんに対して定期的に血液検査を行い、不足しているビタミン・ミネラルがあれば、不足しているビタミン・ミネラルが多く含まれる食品の摂取を勧めます。
また、活動期で食事が取れない場合や寛解期においても食事からの摂取のみで必要なビタミン・ミネラルの摂取量を満たせない場合は、サプリメントの摂取や補充が行われます。
アメリカにおけるビタミンDや亜鉛に関する栄養療法の位置付け
基本的には上記で書いたビタミン・ミネラルの考え方と大きな違いはありません。
現状ガイドライン等を遵守している一般的な施設では、日本とほぼ同様な薬物治療がベースとなります。
そして血液検査を行なって、ビタミンDや亜鉛が基準値を満たさないときに、食事やサプリメントでの介入が行われます。
ここでのポイントは、ビタミンD(血清25-OHビタミンD)を測定し、基準値を満たしていない時にのみ、ビタミンDのサプリメントなどによる補充が推奨される点です。基準値を満たしているのであれば、特別な状況ではない限り、サプリメントは不要と考えられます。
なお、ステロイド療法を長期的に行なっている場合、骨粗鬆症のリスクが高まると言われています。骨粗鬆症の予防に関しては状況によって、ビタミンDやカルシウムのサプリメントの摂取が推奨されることもあります。必要に応じて主治医の先生に相談しましょう。
他方、アメリカでも食事に気をつけていてもビタミンDが不足している方の割合が非常に多いと言われおり、健康な方でもビタミンDサプリメントを摂取されている方もいますが、その効果は不明です。
たびたびコミュニティでも議論されていますが、日本では血清25-OHビタミンDの測定が骨粗鬆症などIBD以外の疾患でしか保険適応となっていないため、ここは非常に歯痒い状況ですね。
ビタミンDや亜鉛の過剰摂取による副作用
一般的にはほとんど起こり得ませんが、ビタミンDのサプリメントを1日の推奨される摂取量を大幅に超える形で飲み続けるなどした場合に、カルシウムの血液中の濃度が上がり、心臓や血管、腎臓などを傷害する可能性があります。
亜鉛に関しても同様に大量に摂取した場合に、嘔吐や下痢などが起こることがあります。
ただ、一般的な食事やサプリメントで一日用量を守る形で摂取する分においては、過剰摂取はまず起きないので心配は不要かと思います。
また、過剰摂取とは別に、IBD患者さんではサプリメントに含まれる添加物により消化器症状が出ることがありますので、もしサプリメントが合わない場合は、他の添加物が含まれるサプリメントを選ぶことも選択肢となります。
ビタミンDと日光浴の関係
こちらもまだ十分にわかっていない部分もありますが、以前記事に詳しくまとめましたのでぜひご一読いただけましたらと思います。
ビタミンDと日光浴
いつもご質問等いただきありがとうございます。その他不明点等あればお気軽にコメントをいただければと思います!