みなさんこんにちは。今回は以前あやさんからコメントとして頂いたラーメンとお赤飯に関する質問にお答えします。
<質問>
「クローン病と診断された後の栄養指導でラーメンとお赤飯を食べないように言われました。2年くらい前になります。何故食べてはいけないのかという説明はなかったと思います…。当時は体調が良くなかったから食べないように言われたのか、それとも体調がよくても避けた方がいいものですか?」
<回答>
ご質問いただきありがとうございます。当時のあやさんの症状含め状況がわからないこともあり、あくまで推測となりますが、活動期のクローン病時の食事として指示された可能性が高いと推察します。
活動期の食事
クローン病、潰瘍性大腸炎ともに活動期と寛解期で食事指導が異なります。活動期では、炎症が起きている消化管の負担を軽減するために、低脂質、低食物繊維食が推奨されます。この観点では、活動期においては脂質が多く含まれるラーメンや食物繊維が豊富に含まれる赤飯については避けた方が良いと考えられます。
寛解期の食物繊維の摂取
寛解期ではまず狭窄リスクがあるか否かで食事の推奨が異なります。
クローン病で狭窄リスクがある場合は寛解期も低食物繊維食が勧められますので赤飯などにも注意が必要です。
一方、クローン病で狭窄リスクがない場合、食物繊維については、摂取量を徐々に増やしながら健康な人と同程度の食物繊維の摂取が推奨されます。以前は寛解期も低食物繊維を指導されることが多かったですが、最近の臨床研究で食物繊維の摂取量が少ないと再燃のリスクが高くなることが報告されていることなどが背景にあります。
ただ赤飯などに使われる豆類では一部の患者さんで腹痛・ガス・下痢などの消化器症状が出ることがあるので、摂取量は徐々に増やしていきましょう。
寛解期の脂質の摂取
寛解期の脂質についても、以前は低脂質食を勧められることが多かったですが、総脂質量の制限が寛解を維持するという科学的根拠は確立されていないため、現在は健康的な範囲での脂質の摂取は問題ないと考えられています。
また脂質の種類については、肉類や加工食品に多く含まれる飽和脂肪酸やオメガ6などの割合を減らし、魚などに含まれるオメガ3やオリーブオイル・キャノーラオイルに含まれるオメガ9などが勧められます。(脂質の種類などにご興味ある方はこちらの記事をご参照ください。)
では、ラーメンはどうかという点についてですが、肉類などの飽和脂肪酸が多く含まれているものの、摂取量や頻度に気をつけた上で摂取する分には問題ない可能性は高いと考えられます。
もちろん無理してラーメンを食べる必要はありません。ですが、ラーメンを食べてはいけないという気持ちがストレスになるのであれば、多少食べるという選択肢はあり得ると思います。
食事はあくまでバランスが大切です。無理のない範囲で健康的な食事をベースとしながら、過度なストレスにならないように食の楽しみの部分についてもうまくバランスを取られる形が良いかと思います。