患者体験談

治験に参加経験のあるPentaさん(潰瘍性大腸炎・男性)から体験談を寄稿いただきました。治験については具体的なイメージがわかないことも多いかと思いますので、ぜひご参考にして頂けましたらと思います。
ジーケアスタッフ
治験に関する体験談の依頼があり体験談にまとめました。治験に興味はあるけど不安があるという方の疑問の解消に少しでもお役に立てればと思います。
ーー治験前の状況
2016年に潰瘍性大腸炎を発症しました。発症当時はIBDを専門としていない肛門科の先生に治療を受けていましたが、他の治療の選択肢に興味を持ち始めて2017年末に大学病院に転院しました。その後しばらく寛解が続いていたのですが、再燃し、大学病院の主治医から、「治療の選択肢として治験もあるよ」との紹介をいただきました。
ーー治験に参加するかどうかの判断
当時はペンタサ顆粒、ペンタサ注腸と坐剤を服用しており、再燃するとステロイドを服用して寛解導入するというパターンを繰り返していたのでステロイド以外の選択肢で寛解導入を目指せるのはメリットだなと思いました。
一方この薬剤ではある感染症のリスクが高まるとの説明を主治医から事前に受けていましたので少し不安もありました。
ですが、この治験は「第三相」の臨床試験であり、第一相、第二相の試験を経て大きな問題が発生していなかったことと、治験を開始してもいつでも治験を中断することができると主治医から聞いていたので大きな不安にはなりませんでした。
さらに主治医から手渡された治験に関する冊子に治療費の負担軽減(支払いなし)、通院頻度、健康被害が発生した事例、プラセボの説明などが記載されていて概要を理解することができました。
そして最終的には妻とも相談しながら一ヶ月ほどで治験に参加しようと決めました。
治験の参加について比較的ゆっくり考えることはできたのは、当時再燃時に内視鏡で炎症は見られるものの、下血やその他自覚症状があまりなかったこともあるかもしれません。もし自覚症状がひどかったらここまでゆっくり考えることはできなかったかもしれません。
ーー治験開始時 (治験薬の投薬前)
治験参加を主治医に伝えてから2週間程度で治験参加に関する内視鏡検査があったことに加え、私が参加した治験では治験薬の服用によってある菌の感染リスクが高まる可能性があったことから感染症の検査(血液検査)もありました。この感染症の検査結果が出るまでは1-2週間かかりました。
ーー治験薬の投薬開始後
感染症の結果を確認した後に治験薬の投薬が始まりました。投薬の段階で治験に参加する患者の使用薬剤を合わせる目的でペンタサ顆粒がリアルダに変更となりました。
私の治験薬は飲み薬だったのですが、初めは2週間おきに通院がありました。通院では通常の診察と同様にまず血液検査を行い、その後治験コーディネーターと前回診察からの経過などを話し、最後に治験コーディネーターと主治医と一緒に診察が行われました。病院の滞在時間は合計90分から2時間ほどだったと思います。長く感じるかもしれませんが、これでも通常の通院よりはスムーズでした。
通院頻度は高かったですが、再燃時にステロイドを投与していた時も2週間ごとに通院していたのでそこまで負担感はありませんでした。会社の方は半日休を使って対応しました。
10週が経過した段階で検査を行いました。症状が改善していなかったことから主治医の判断で治験薬の投薬は終わりました。その後の治療としてはステロイドとロイケリンを服薬し寛解導入しました。
一方で治験はその後も続き、数ヶ月おきに通院して治験のためのフォローアップの検査等を行いました。
ーー治験コーディネータのサポート
治験を通して治験コーディネーターの手厚いサポートを受けることができました。治験に参加する前から治験コーディネーターとはとにかくたくさん話しましました。主治医との診察の前のコーディネーターとの面談時間で質問・疑問を整理できることも多かったですし、主治医に聞くまでではない些細なことも治験コーディネーターに聞くことができました。
大学病院の診察は普段3分診療のような形でしたのでこのように日々の疑問や悩みに寄り添って貰えたことや共感してもらったことは非常に良い経験ですし、何より安心感を感じました。
また治験コーディネーターとのやりとりを通して、主治医が知りたいポイントやどのように主治医に質問するかなどを学びました。
ーー治験参加時に不満だったこと
治療参加に伴い負担軽減費の支援があったので、毎回書類に署名して都度の振り込みを行ってもらいました。この制度自体は非常にありがたいと思うのですがIBD患者にはネックもあります。
みなさんご存知のように指定難病の受給者証を得るためには病院での支払い等が記載された「自己負担上限管理票」の提出が必要になります。しかし、治験に参加した場合は、その自己負担額が見かけ上、0や非常に少ない金額となるため、医療費受給証が届くまでの自己負担分の払い戻し請求が必要など手間がかかる可能性があると思います。
ーー治験に興味を持っているけれども迷っている方へのメッセージ
IBDの治療は進化しています。10年以上も前だとステロイドなどしか選択肢がなかったと思いますが、今では生物学的製剤の種類も増えてきて、治験のメリットを感じにくくなっているかもしれません。
ですが、今も治験は重要な治療の選択肢だと思いますし、途中で心配になったら参加を中断することもできます。
治験に参加しても自分のプライバシーが公開されることはありませんし、疑問に思ったことや、この検査は何の為に行うのかなど説明してくれます。ちなみに、漫画のようなよくわからない実験をされることもありません(笑)。何より寛解を目指せる可能性が大きなメリットなので興味を持ったら一度話を聞いてみてはいかがでしょうか。話を聞いてから悩んでみるでもいいと思いますよ。
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Gコミュニティでは、治験に興味のあるIBD患者さんに対して幾つかの治験情報を提供しています。
また関連情報も提供してますのでぜひご参考にして頂けましたらと思います。
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